疑問

 ここでは初心者の方によく聞かれる質問をまとめてみました。 みなさまからの質問も受け付けておりますので、気軽にメールにてご質問下さい。 あまり上級者向けの質問は私自身が答えられないのでご了承を。


Q:離型剤って何?
Q:塗料にはいろいろな種類があるがどう違うのか?
Q:パテにもいろいろあるようですが?
Q:サーフェイサーって何?
Q:エアブラシは絶対必要?
Q:作った色はどのように保存するの?
Q:フィギュアの目が描けない
Q:軸打ちの穴開けはどうすればうまくいくの?

Q:離型剤って何?

 離型剤というのは、買ってきたばかりのガレージキットの表面についている油のことです。 これは塗料などをはじくので、作業前に落としておく必要があるのです。

 で、なぜこんな物がついているのかというと、ガレージキットの主流であるレジンキットはシリコンゴムというもので型取りされた元型に無発砲ウレタン樹脂を流し込んで作られます。 この時、何も付けずに流し込むと元型と樹脂がくっついてしまうので、元型の表面に油を塗ります。 これが離型剤です。

 プラモデルは金属の金型で元型を作るので離型剤は必要ないのですが、金型は何百万とするので大量に売れる物でしか、作っても利益を望めません。 マニアックな物はたくさん売れませんから、安く元型が作れるシリコンゴムを使うわけです。 ですから、離型剤はいわばマニアックな物がキット化できることの代償みたいなものなので、離型剤がついていることに不満を抱かないで下さい。

 そして離型剤の落とし方。 離型剤専用洗浄剤を使うという手もありますが、私はやはり、洗剤と歯ブラシでゴシゴシやる方が好きです(フィギュア入門を見てね)。 「さあ、きれいにしてあげるよ」っていうような感情を込めながら洗ってあげると、やる気もでるものです(私は)。


Q:塗料にはいろいろな種類があるがどう違うのか?

 塗料には主に、水性、アクリル、ラッカー、エナメルがあります。
水性 グンゼ産業:水性ホビーカラー(120円)
アクリル 田宮模型:タミヤカラー・アクリル塗料(180円)
ラッカー グンゼ産業:Mr.カラー(標準色120円,蛍光色150円)
エナメル 田宮模型:タミヤカラー・エナメル塗料(120円)
 上では水性とアクリルと分けて書いてありますが、それは会社によって呼び方が違うだけで、2つを水性アクリルと総称します。 水性アクリルは匂いもきつくなく、他の2つに比べてクセがなく、筆も水で洗えるので初心者に最適です。 しかし、原色系では発色のあまりよくない色もあるので万能ではありません。 エアブラシを持っていなくて、筆のみで作業する場合はこれが最適だと思います。

 ラッカーは最もポピュラーなものです。 揮発性がムチャ高い溶剤を使っているので、乾燥時間がとても速いのが特徴。 フタを開けた状態で少しでも油断すると、みるみる揮発してしまいます。 それゆえに匂いもキョーレツです。 発色もよく、塗膜も強いので性能はよいんですけどね。 乾燥時間の速さから、エアブラシに使うには最適でしょう。 逆に筆に使うとムラになりやすく、扱いには慣れが必要です。

 エナメルは乾燥時間が長いので筆塗りの時の感触が非常によく、アクリル、ラッカーと混ざらないことから、フィギュアの目を塗るには最適でしょう。 失敗してもふき取ることができるし。 エナメルはメインとして使う物ではなく、細かいところを塗るための補助的な役割で使われることが多いようです。

 以上、まとめると以下のようになります。

発色乾燥時間主な用途
水性アクリルよくない普通筆塗り
ラッカーよい速いエアブラシ
エナメルよい遅い重ね塗り

 塗料についてはホビージャパン'97 1月号に詳しい記事があるのでそちらを読むとよいと思います。


Q:パテにもいろいろあるようですが?

 整形に欠かせないアイテム、パテ。 これも多数の会社からいろいろな物が出ています。 しかし、重要なのはその成分です。 用途によって使い分けましょう。

ラッカーパテ

田宮模型:タミヤパテ(200円)

 別名プラパテ。 ラッカー溶剤の揮発によって固まるパテ。 小さな段差、隙間、気泡などを埋めるのに使うのが主な用途。 そのまま使うと食い付きが甘いので、ラッカー溶剤を少し足してから使うと良いようです。 ただし、溶剤が揮発した分、体積が減るので多めに盛りつけるようにします。 硬化後の強度はもろいので、大きな負荷のかかる場所には使わない方がよいでしょう。
 タミヤ製の他には、グンゼの「Mr.パテ」(280円)などがあります。

エポキシパテ

田宮模型:タミヤ・エポキシ造形パテ(300円)

 通称エポパテ。 粘土のように、手で成形してパーツに押しつけるように使います。 オリジナルパーツをスクラッチしたり、改造時などにおける大きな隙間を埋めたりするのに使います。
 2つの粘土状の物を混ぜ合わせることで硬化が始まります。 硬化時間はかなり長く、最低でも1日かかります。 しかし、強度は非常に強く、硬化後はかなり固くなるので負荷のかかる場所にも使えます。
 タミヤ製の物はどこの模型店でも手に入るポピュラーな物ですが、私はホームセンターなどにあるセメダイン製の物(木工用:500円)が、効果時間も短く、加工もしやすいので好みです。

ポリエステルパテ

ワークアソシエイション:モリモリ(500円から)

 通称ポリパテ。 パーツの補修などの、大きく盛りつける時に使います。 硬化後は非常に削りやすく、「盛ってから削って整形」というのが主な使い方です。 大きな隙間埋めにも使えます。 主剤と硬化剤を混ぜ合わせる事によって硬化が始まり、硬化時間も早く、作業効率も良いです。
 ワークの「モリモリ」はモデラー界では最もよく使われており、姉妹品として「スベスベ」、「ドロドロ」などがあります。 他にはタミヤ製の「タミヤポリエステルパテ」(980円)などがあります。

その他

 他に有名な物としては、アルファ技研の「アルテコ瞬間接着パテSSP」と「アルテコ瞬間接着パテSSP-II」、さらに「アルテコ瞬間接着パテSSP-HG」というのがあります。 キャストへの食い付きの良さ、硬化時間の短さ、接着剤としても使える、などの特徴を持った物ですが、値段が張るため初心者にはお勧めしかねます。

 しかし実際の所、1/8などの小型キットの場合、ラッカーパテ以外はあまり使わないかもしれません(改修、改造を行う場合は別ですが)。 あと、どの会社の物を使うかは、好みの問題ですので、いろいろ試してると良いでしょう。


Q:サーフェイサーって何?

 'surface:表面 'から来ている言葉ですが、塗装前に下地を作るための物です。 サーフェイサーには瓶に入った液状の物と、缶に入ったスプレー式のがありますが、普通、サーフェイサーというとスプレー式の方のことを言います。

サーフェイサーを吹く目的としては、

といったところです。 サーフェイサーは粒子が粗く、小さなキズなら表面張力で埋めてしまいます。 表面処理の仕上げとして吹くのが正しい使い方です。 また、隠蔽力が強く、パテなどで表面の色がムラムラになったところに吹くと、きれいな一色になり、凸凹が分かりやすくなります。 サーフェイサーにつや消しの灰色が多いはそういう性能を出すのに最もいい色だからです。 また、サーフェイサーは塗料よりも食い付きがよく、これで下地を作ることでより塗料を強力に食い付かせることができます。

 代表的なサーフェイサーとしては

グンゼ産業:Mr.サーフェイサー(400〜600円)
最もポピュラーなサーフェイサー。 目の細かさによって、500,1000,1200(徳用)がある。 また色の白いホワイトタイプ(1000)もある。

田宮模型:スーパー・サーフェイサー(500円)
Mr.サーフェイサーより食い付きが強力。 塗った面がざらざらになるので、塗った後ヤスリで磨く必要がある。 というより、ヤスリがけをする事を前提にしてあるサーフェイサーである。 キズの発見はしづらい。

ソフト99:プラサフ(900円)
車の塗装用のサーフェイサーなので、模型店には売っていない。 カーショップに売っているらしい。 車用だがレジンキットにはこれが最もよいというモデラーが多いそうだ。 ノズルが工夫してあり、吹き付け時のエアの出が非常によく、塗りやすいという特徴がある。

 てなとろです。 まあ、ほとんどはMr.サーフェイサー1000で間に合うと思いますが。


Q:エアブラシは絶対必要?

 あった方がいいに決まっていますが、いかんせん高価なので、本格的に模型に取り組むつもりでなければなくてもいいと私は思います。 事実私も最初のうちはエアブラシなしで作っていたのですから。

 もしエアブラシを買うのなら、タミヤの「スプレーワークHGシングルエアーブラシセット(8900円)」が手頃だと思いますよ(私が使ってたから)。 最初から高価な物は必要ありませんが、瓶の外でエアーを吹き付けるタイプの物(3000〜5000円位の安物)はやめた方がよいですよ(使った人がそう言ってた)。


Q:作った色はどのように保存するの?

 買ってきた色をそのまま使うことはほとんどありません(特にフィギュアは)。 たいていは混ぜて使うのですが、とりあえず完成するまでは作った色は保存しておきましょう。 なぜなら、同じ色は2度と作れないからです。

 そして保存の仕方ですが、模型店で「空瓶」というのが売っています(100円位)。 しかし、長く模型を続けていれば、使い切った塗料瓶がたくさんでてくるので、そんなにたくさん買う必要はありません。 また、ムダ金は使いたくないという人は、カメラのフィルムケースを使うという手もあります。 カメラ屋に行けばタダでもらえるそうですし。 また、水性アクリルなら塗料皿にラップをかけて強力に密閉すれば、1ヶ月位は持ちますよ。


Q:フィギュアの目が描けない

 初心者がフィギュアを敬遠する最大の理由がこれでしょう。 これはズバリ!集中力です。 と言いたいところですがそれでは質問の答えになってませんね。 目の描き方は人によって違うと思いますが、とりあえず私のやり方を紹介しましょう。

 まず、視線の方向を決めます。 これが結構重要で、この視線の方向一つで完成のイメージがかなり変わります。 ほとんどのフィギュアはポーズが決まっているので、そのシチュエーション、キャラの性格を考えて視線を決めます。 ここで一つアドバイス。視線は正面にしない方がいいです。 視線を正面にあわせるのは結構難しいのです。 まっすぐに描いたつもりでも、右目と左目が別の方向を向いてしまったりします。 それに正面というのは非常に不愛想な感じになります。

 視線を決めたら、それを一度紙に描いてみましょう。 その視線で思ったイメージ通りになるかを検討してみて下さい。

 そしていよいよ塗装に入ります。
ラッカーかアクリルで顔の肌色が塗ってあるとします。
まず、上まぶたの黒を塗ります。目の方ははみ出してもかまいませんが、まぶた側には絶対はみでないようにします。
黒が乾いたら、白目の部分を塗ります。
ここからエナメルを使います。黒目の部分を描きます。二重まぶたの線もこのとき描きます。二重まぶたはみぞに流し込むようにやります。 はみ出たらエナメル溶剤をティッシュに染み込ませてふき取ります。
目の色を描きます。このとき一緒にまゆげも描いておくといいでしょう。
最後にハイライトを入れて完成です。
 簡単に書いてみましたがこんなもんかな。 この作業は集中力が勝負です。 私も最初のうちは作業が終わったとき、全身汗びっしょりでした。 あと、手が震えないようにしっかり手を固定しましょう。 また、疲れている日や、重い物を持った日はやめた方がいいかもしれません。

 あと、筆は700円以上の高級品を使った方がいいです。


Q:軸打ちの穴開けはどうすればうまくいくの?

 パーツ同士をより強力に接着されるために必要な作業、「軸打ち」。 これは真鍮線などを接合面に埋め込むことで行うことが多いですが、このための穴開けは、穴の位置が決めにくい為にずれることもしばしばです。 そこで、一般的な方法を紹介します。

fig.1fig.2

 ←このような円柱状のパーツを接合することを考えてみます。

 まずパーツを合わせ、4カ所ほどペンなどで印を書きます(fig.1)。 次に、接合面にその印を元に十字に線を引きます(fig.2)。 その交点を穴の位置とすれば、2つの面のほぼ同じ位置に穴が空けられます。

fig.3fig.4fig.5

 しかし、そうは言っても結構ずれてしまいます(fig.3)。 そんなときは、穴の回りを彫り(fig.4)、真鍮線をググッと押し曲げてしまうことで解決させます(fig.5)。 曲げた真鍮線は、最後までなくさないように取っておく必要がありますね。

fig.6fig.7fig.8

 また、場所によっては、接合面の外側から穴を空ける方法も有効です(fig.7)。 空けた穴は、プラ棒や余ったレジンのバリなどで埋め、表面をパテ&ヤスリでなめらかにしておきます(fig.8)。 このとき、直接パテなどで埋めるとヒケ等の問題でうまく行かなかったりするので気を付けましょう。 この方法ですと、穴がずれることはないので安心ですが、穴埋め作業が面倒ではありますね。

 軸打ち作業は1/8などのキットの場合、補強と言うよりは仮組等の合わせ、接着時のズレ防止、脱着パーツの作成などの目的で行われることが多いようです。 しかし、ミニキットであっても、軸を入れておくことに越したことはありません。 不慮の転倒などの事故の時、軸を入れてなかったかどうかが物を言うときが良くあります。 軸打ちはまさかの保険のためだと思っておきましょう。


 このコーナーではフィギュアに関する基本的な質問を募集しています。 メールにてどうぞ。

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