'08夏 ワンダーフェスティバル 出品作品
次は和服を作ってみたい。 これは中華さんを製作する前から考えていた事です。 これで和洋中が全て揃うし。
とは言ってもなかなか難しかったです。 製作前は中華さんのように、和服を現代の子が着こなすとしたらどうなるかと言うアレンジ和服を考えていたのですが、いろいろ突き詰めていくうちに順な和服が最も美しいと気付きました。
和服のフィギュアはこれまで何度か見たことがありますが、なかなか良い物がありません。 それは元々フィギュア向けのキャラクターに和服が少ないと言うこともありますが、やはり和服は作りにくいのです。 和服はボディにフィットするように作られていないため、各所にシワが大きく出ます。 しかしシワを省略してしまうと一気にリアリティが失せてしまうため、手抜きが許されません。 また、非常に動きにくい衣装であることから、取れるポーズも非常に制限されます。 そのような点から、和服人形が持つ色気は、現在のフィギュアの持ち味である萌え文化とは巧くリンク出来ていないと思うのです。 今回はそれをなんとか形としてまとめ上げられないかと頑張ってみました。
和服というと生地に模様や刺繍などの装飾が施される事が多いですが、今回は敢えてそれを廃しました。 製作し始めたときはそのような装飾を考えていたのですが、完成が近づくにつれて、このフィギュアはシワ表現その物が魅力になると気付きました。 模様を施すとそれが見えにくくなってしまい、逆に魅力が半減するかも知れないと思ったのです。 そう言う理由で単色で塗っているのですが、この単色もグレーと黄色を混ぜた地味な色にしています。 これも、彩度を落とした色の方が表面の凹凸が分かりやすくなると言う考えからです。 また、とにかく彩度を上げたがる完成品フィギュアへの対抗意識でもありました。
しかし自分の中ではいろいろ課題を残したフィギュアでもあります。
ま、秀作でもあるので仕方ないですが。
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