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 ガレージキット?フィギュア?予備知識なしでこのホームページに来てしまった人へ。


ガレージキット文化を理解しよう

 ある人は言いました。「物作りは人間の最高の幸せ」だと。

 自分の手で何かを作りたい。 そう思うのは人としてごく自然な感情です。 そして、出来た物を多くの人に見て貰いたい。 そう思うのも人としてごく自然な感情です。 また、すばらしい物を見たとき、それを欲しいと思うのも、人としてごく自然な感情です。

 しかし、通常手作りの物は一品しかありません。 それだけ時間を費やし作った物を商品として売るとなれば、非常に高価な値段を付けざるを得ないでしょう。 しかし、それが複製出来れば、安く分けることが出来るでしょう。

 それが紙に描いたものであれば「印刷」という技術を用いて複製が出来るでしょう。 それが音楽であれば「録音」という技術を用いて複製が出来るでしょう。 しかしそれが立体物だったとしたら...。

 あまり馴染みがないかも知れませんが、ちゃんと世の中には立体物を個人で出せる程度の費用で複製する方法があります。 しかし、残念ながらその立体物に塗ってある色までは複製は出来ません。 では、その立体物を組立キットという形態にして売り、塗装は購入者の方でして貰う事にしたら、商品として自分以外の人に分け与えることが出来る...。

 それがガレージキットなのです。


フィギュア文化を理解しよう

 「フィギュア」の定義は非常に広いのですが、おそらくは「生き物を題材に作られた、卓上に乗るくらいの小さな彫刻物」と考えて差し支えないでしょう。

 その中で、特に人気があるのが、「2次元上でしか存在しない、アニメやマンガのキャラクターを立体物として作り起こした物」です。

 特に人形のような、曲面の多い立体物は、シリコン型による複製方法が向いているため、フィギュアはガレージキットという形態での配布が普通でした。 だから、数年前までフィギュアは、ある程度の模型技術で持って完成させるか、もしくは高額な制作費を払って人に作ってもらうしか入手の方法がなかったのです。

 しかし2000年くらいになってから「完成品フィギュア」が数千円程度で入手出来る時代がやってきました。 中国などアジア系の生産力を利用し、本気で塗装を手作業で大量生産してこの価格帯に抑えて商品化してしまったのです。 これは中国の経済力の凄さのたまものだと言えるかも知れませんが、日本の市場がフィギュアを大量生産の商品として成立するまでに広がったためだと言えるでしょう。

 そしてこの傾向はさらに進み、お菓子のおまけとして、または自動販売機(いわゆる「ガチャガチャ」)で、または普通に箱に入った状態で、10cmくらいの彩色フィギュアが500円程度で買えてしまう時代になりました。 場所もコンビニから本屋さんなど、どこでも買えます。 これにより、フィギュアが一部のマニアの所有物であった時代は完全に終わり、ちょっと興味がある人がコレクションとして集め始める時代になったのです。

 フィギュアという趣味が一般的な物になったことは非常に喜ばしいことではありますが、「フィギュアは自分で作るもの」という認識はどこかへ行ってしまったという感じです。 しかし、それでも自分の手でフィギュアを作ろうとする文化は健在です。

 フィギュアを作り、売る。
 フィギュアを買い、作る。

 そこに出来る物流の中で起こる人との出会い。 自分のフィギュアを買ってもらえる喜び。 他人の素晴らしい作品に会える、そして買える喜び。 そんな魅力に取り付かれた人間が数多くいます。

 そして私もその1人です。 ここは、私のフィギュア作りにおける活動を紹介しながら、フィギュアを作っている、作ってみたいと思っている人の、何かの参考になれればと思い、誕生しました。


ガレージキットの今

 さて、ガレージキットは組立キットなのですが、それはプラモデルとどう違うのでしょうか。 ガレージキットにはいろいろな材質と複製方法があるのですが、最も一般的であるのが、レジンキャストキットと言われる形態です。 シリコンにより原型の型を取り、その型に樹脂を流し込むことで複製を行います。 この手法は複雑な形状も複製しやすく、少数生産に向いている方法で、ガレージキットと言えばレジンキャストキットのことと思われるほど主流になりました。

 そしてそのガレージキットがビジネスとして十分成り立つと認識されると、中小企業が生産&販売をするようになりました。 これにより、ガレージキットは個人売買の範囲から、都会のちょっとマニアックな模型屋さんに行けば手に入るくらいの物へと昇格していったのです。

 しかしやはりガレージキットは一般的なプラモデルよりも精度が低いため、模型業界では上級者向けのキットとしての位置づけでした。 とは言え、プラモデルにはない個性的なキット達はそのハードルを越えさせるのに十分な魅力を持っていたのです。

 さて、こうして模型屋さんで買えるにまでなったガレージキットですが、やはり個人売買での範囲でのキットもガレージキットとしての魅力でした。 そんな個人売買をするためのマーケットが存在します。 それがワンダーフェスティバルです。

 ワンダーフェスティバルは模型のフリーマーケットみたいな場所で、半年に一回東京で行われるイベントです。 しかしここで、アニメやゲームで登場するメカや人間をキットにして販売する際、どうしても著作権という問題を無視することが出来ません。 小難しい話は省略しますが、現在はガレージキットは著作者に許可を取った上で販売すべきという事になっています。

 しかし、個人で企業の所有する著作権の交渉は不可能に近い話です。 そこでワンダーフェスティバルはその日その場所のみで販売するという権利を、イベント参加者に代わって版権元へ交渉してくれるという、「当日版権」というシステムを発明しました。 その後、ワンダーフェスティバルに続くガレージキットイベントがいくつも出来ましたが、いずれもその当日版権システムを採用しています。

 しかしこれは結果として著作権の存在するキットは、個人で勝手に売ることは出来ず、ガレージキットイベントでしか売ってはいけないという認識へと変化していきました。 これにより、「ガレージキット→イベントで売る物」という図式が出来上がったのです。

 しかしインターネットの普及が進み、個人売買など容易に出来るようになった今、この当日版権のシステム自体が無意味になりつつあるという問題も抱えています。 イベントで買ったキットがオークションで売買されるのであれば、もはや「当日」版権としての意味がないという意見もあります。 アマチュアのファン活動に著作権管理などいらないという意見もありますが、中には相当な額を儲ける方もいたりするわけで、その辺をどう考えるか、非常に難しい所です。

 本来好きな物を作るという楽しみが全てであった模型趣味や造形趣味。 しかしいつの間にかできた変なルールや、値段や販売数と言ったつまらない数値によって本来の目的が失われつつあるような気がします。 とはいえ、イベントで評価されるからこそ、向上心が生まれてくるのも事実。 この業界がいい方向に向かっているのか、悪い方向に向かっているのか、それとも実は何も変わっていないのか、それはよく分かりません。

 ただ、ガレージキットを創り出している人たちは、「造形」という表現物の中で、最も分かりやすい領域の物を創る人たちだと思うわけで、この世界からいろいろな才能が世間に飛び出していったらいい。 と思ったりもします。


で、最近の私は

 ダレてます。 活動縮小気味。 いろいろと興味の対象を広げて方向性を模索しようとしているのですが、どんどんガレージキットから遠ざかっているような気もする。 到達した所が分かりにくいものにならないように気を付けよう。


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