前回に引き続き和物で行こうと思います。
洋服と違って体にフィットするように作られていない和服は、シワが大きく出るため、造形的にも難しいと思いますが、だからこそそれをきちんと再現できたときは大きな魅力にがあると思います。
しかしどうしても左右の広がりが無いのでそのまま作ると縦棒のようなシルエットになってしまいます。 それでは面白くないため、振袖の部分が大きくひるがえるようなポーズや動きを持たせてそれを補おうと過去の造形家の方々は配慮をされてきたように思えます。 前回の撫子さんも同じ方法論でした。
しかし、もっと簡単な方法があります。 左右の広がりが出せないなら、上下を短くすれば相対的に左右の幅が持たせられるのです。 そのためには、モデルを座らせると言う方法もありますが、もっと簡単な方法として、足を作らなければ良いと気づきました。いわゆる半身像です。
実は半身像の魅力は以前から着目していました。 フィギュアはすなわち「姿」という意味ですから、全身像を作ることが基本です。 ですが、実際の人物を見るとき全身像が無理なく視界に入る位置と言うのは、5m以上は離れた位置にいるときでしょう。 上半身しか視界に入らない時というのは、もっと人物に近づいている時です。そのため、半身像には鑑賞者がフィギュアとより密接な関係にいるかのような感覚が生まれると私は思うのです。
また、和服は上半身に情報量が集中します。 洋服の場合、スカートが服の個性を表す重要なパーツであるのですが、和服の場合は、帯や袖、襟と言った部分が重要な個性であって、尻から下はまっすぐな布があるだけです。 まぁ、草履とかは重要な個性ですが、そこにたどり着くまでにかなりの距離があります。 そのため、ばっさり省略したほうが、むしろ情報密度が上がるのです。 足なんて飾りがないですよ。
…とまぁそんな思想で出来てます。
ちなみにまだ名前を決めていません。
実際名前なんてどうでも良いのですが。
あんまり固有名詞っぽくない名前がいいんだけどな。
「滝川紅葉」よりも「ベレーさん」の方が定着しやすいと思うので。