がんばろうワンフェス


前置き

今回のワンフェスガイドブックの表紙にもなっているイラスト。地震を起こすナマズに、それを動けなくする要石を打ち付けているオブジェを作るワンダちゃんとリセットちゃん…らしい。

 今回のワンフェスは、いつものワンフェスとは違う様式での開催となった。

 3月11日に東日本大震災が起こった。 この時本日開催予定だったワンフェスは、郵送申込は終了していて、Web上からはまだ申請可能という時期だった。 ワンフェスの開催は大丈夫かな?と誰もが思ったが、そのまま予定通り18日に申込は締め切られた。 同時に当日版権の申し込みも完了したのだが、この地震の混乱で版権元との連絡が取りづらくなった事から、3月22日に主催者側から当日版権の中止が発表。 イベント自体は予定通り7月24日に開催するけど、4月5日までなら参加のキャンセルを受け付けると言う事になった。

 当日版権が無しのオリジナルだけのワンフェスなんて参加する意味あるのか?と大半のディーラーが思った。 当然参加ディーラーは激減するだろうと思われ、会場の規模縮小も検討された。 しかし、ワンフェスに理解のある版権元からは、今回のワンフェスに限り版権フリーにしたり、直接ディーラーから当日版権を受け付けると言う発表がなされた。 これが結構な数に登り、実質は当日版権の選択肢は少なくなったワンフェスと言う程度の縮小に終わった。 実際ディーラー数は3割程度の減少に留まったそうだ。 結局会場は変更されず、幕張メッセ1〜8ホール全部を使うことになった。

 今回のドタバタの中では「当日版権が無いのに参加費用がそのままなんておかしい」とか「開催自体を無くすべき」とかいろいろな意見がネット上では飛び交った。 また、版権フリーを宣言していない版権元に対して、ディーラーから直接「やらないのか」と問い合わせる人が出てきたりして、版権元が困ったりという事態も起こったようだ。

 そしてもう1つ。 今回から新しい試みが行われることになった。 「ダイレクトパス」なるものが登場した。 3000円のこのチケットがあれば、一般入場者よりも優先的に中に入れるというシステム。

 毎度この手のイベントでは、前日から会場に並ぶ徹夜組と言うのが出る。 治安と健康上良くないと言う事から禁止されている行為だが、早い者勝ちであるこの手のイベントでは、結局はルールを破った者が勝つと言う理不尽さがあった。 また徹夜だけでなく、海浜幕張駅の始発到着時刻には駅から雪崩のように人が出て行く状態だったらしく、いつ怪我人が出てもおかしくない状態だったとか。 そこで、早く来ても意味が無いシステムにすることにより、この混乱を抑えようとしたと思われる。

 入場者からよりたくさんのお金をせしめようとするこの仕組みには、いろいろ非難の声もあったが、そんな事よりも、イベントでの事故を無くすことを何よりも優先した結論だと私は好意的に受け止めている。 ダイレクトパスは開催1ヶ月前からローソンで販売された。 すぐに完売と言うわけではなかったようだが、一応全部売れたらしい。 ちなみにネットオークションでは7万円の値がついた物もあったとか。

 ちなみに今回ワンダーショーケースは無し。 決まってたらしいけどね。


弱めの設定

液状化で壊れた歩道。やり直しができないのでアスファルトでの補修になっている。ここは人通りの真ん中なので補修が入っているが、歩道の端の方では補修すら行われず、壊れたブロックがそのままになっていたりした。

 さて、前置きが長くなったが、そんな感じでいつもよりもちょっと弱めなワンフェスが開催された。 そして私はというと、今回3年ぶりとなる新作が出来たので、期待と不安の入り混じった新鮮な気分。

 ブースでいつも相方を務めてくれていたHit君は今回所用により欠席。 相方は以前らくがき塗料箱で原型師として参加してくれていた、たまさんにお願いする事にした。 たまさんは現在はTeam30と言うディーラーのメンバーとなっているが、今回のワンフェス規模縮小から一般入場することになっていたので、こちらへのヘルプをお願いしたという次第。

 会場には8時5分に着いた。 いつもよりも30分早い。 いつもディーラー入場時間ギリギリに入っていたのだが、今回は少し余裕を持った。 まずは会場に入る前にコンビニで食料を調達。 そしてここでたまさんと合流して会場へ向かう。

 ここ海浜幕張は震災当時、液状化現象で道路がぐにゃぐにゃになったと聞いている。 この日は一見問題なさそうに見えたが、よく見ると歩道が仮補修なのが分かる。 大方問題は無いが、まだ完全とはいえない状態のようだ。

 一般入場の列はさすがにいつもよりも少ない。 ダイレクトパスの効果かな。 手続きを済まし、荷物の受け取りをする。 今回は自分のブースが荷物引渡し所の目の前だったので楽チン。 しかし、1つ問題が。 私は毎回樹脂製のケースに荷物を詰めているのだが、フタを固定する為のフックの部分が片方無くなっていた。 運んでいる途中で取れたのだろう。 フタのロックが出来ていない状態でここまで運ばれてきたようだ。 あぶねぇなぁ。 その差がサガワ。
照明3/4の図。

 9時半にブース設営完了。 Team30のメンバーが挨拶に来られたので雑談したりして開場まで時間を過ごす。

 ところで、今回震災影響による節電対策と言う事で、照明は1/4減、空調温度は高めということであったが。 照明1/4減と言う数字の意味は天井を見れば一目瞭然。 4つの照明のうち1つを消しているのである。 しかし、言われなければ分からない程度。 特にいつもよりも暗いとは感じなかった。 空調に関しては、ウチのブースにはクーラーの風が直撃する場所だったため、むしろ寒いくらいだった。 暑いと思って多めの水と団扇を用意してきたのだが、全く不要だった。


静かな午前

入場者が走らないように係員の監視の目が光る。しかし走る奴等は君たちの後ろにいるディーラー達だ。
 10時にいきなり開場。 カウントダウンとかで盛り上げないのは多分ダッシュする気持ちを抑制する為だろう。 今回ウチのブースは入場口の目の前だったので人が入ってくる様子が良く見えた。 蜘蛛の子散らす様に大競歩大会と言った感じ。 走っているのはむしろディーラーの方が多い。 3分くらい経つとダイレクトパス所有者の入場が終わったらしく、目の前の入口シャッターは閉められた。 一般入場はまた別の場所から入るという事なのだろう。

 さて、毎度の事ながら、この時間帯はヒマ。 Twitter上では完売しましたーとか言うつぶやきがちらほら現れるが、そんなのどこ吹く風やら。 やること無いので自分の目の前の景色をぼんやりと眺める。 向かいのブースは3D-GANというデカイブースで、3Dプロッタの展示とかをやっているのだが、等身大サイズの発泡スチロール製初音ミクがお立ち台でグルグル回っていた。 専任のコスプレさんもいた。 ヒマなのでこの人の動向をどうしても目で追ってしまう。 朝ブース入りして来るところから、最後私服になって撤収するところまでよく見えた。

ウチのブースからはこの距離感で見える。ミクの中の人、お仕事お疲れ様でした。
 11時50分。 1個目が売れたが、売れたのは撫子さん。 その後も少ずつ撫子さんが売れて行った。 中華さんも1つ売れた。 どういうわけか前回よりもたくさん売れている。 他に良いのが無かったのだろうか。 今回の新作時乃さんは、あまり売れないだろうなとは思っていたが、新作よりも旧作のほうが売れるというのは予想外の状況だった。 これはどう考えたらいいのだろうか。

 相変わらずヒマな状況が続いたので、外を少しだけ見てきた。 少し眺めただけでは、いつものワンフェスと変わらない気がする。 しかし何か熱気が少ないような?そんな気がした。 人も少ないような気がする。 ガレキブースのあるホールは4〜8ホールで、使用しているホールの数は前回と同じ。 けど、ウチのブースの前にあった荷物引渡し所は開場後は何も無い空きスペースになっており、単純に見ただけでもこの分ブースが少ない。 その他は同じように島が配置されているが、島の大きさがわずかに小さめになっている。 その分通路幅に余裕があるのか、単に入場者が少ないのか、人の密度が低く感じた。 しかし後の発表では、入場者数は前回とあまり変わらなかったそうだ。 やっぱり気のせいなのかなぁ。

 ブースに戻ると、Team30のみずさんが来ていた。 思えばたまさんとあわせてこの3人がらくがき塗料箱の初期メンバーだった。 すでに10年も前の話。 そんな懐かしい話はしなかったが。


100体の完売よりも1体の伝説

いのまさん作中華さん。白もいいですね。
 今回も、何人かの方に声をかけて頂きました。 ありがとうございます。 今回も本読んでますよ!な方が何人か。 紅葉ちゃんの現物が見られて嬉しいと言う感想でした。 そろそろ次の新作が出来たら紅葉ちゃんは降板してもらおうかと思っていたのだけど、今後の為にもずっと展示しておいたほうがいいかもしれませんね。

 いつもWeb見てますよ!な方からは、時乃さんの感想を頂きました。 Webで見たときは怖いと思ったが、実物を見るとそんなことは無いとか。 やっぱりあの写真は怖かったのかな。 確かにこの会場、というかこの展示方法だと、下面からの反射光もあって、私の家で見るよりもやわらかく見えるかもね。

 いのまさんが完成させた中華さんを見せに来てくれた。 せっかくなのでブースの脇に展示。 こういう持込は原型師にとって一番嬉しいですよね。 オリジナルキャラなので、色もフィニッシャーさんによって異なるので、さらに面白いです。

 さて、そんな感じでブースに来られた方と雑談しているうちに、14時半を回ったのだが。 徐々に周りの人の流れに変化が…。 明らかに企業ブースの方に人が流れていくのを感じる。 多分これは、アレだ。 ヤツが来たのだ。

 diveという会社が江頭2:50のフィギュアを発売するらしく、そのキャンペーンで本人が会場に来るらしい。 登場時間は14:50だ。 私も気になるので、そのときブースに来られていたパクチーさんと共に企業ブースへ向かった。

 企業ブースのホール(1〜3)に入った瞬間、「うおぉぉぉ」と言う歓声が聞こえた。 物凄い人だかり。 間違いなく本日最大のイベントになっていた。 人が多すぎてほとんど見えない。 人気ありすぎだろ。

これまでのワンフェス内イベントの中で一番盛り上がったんじゃないのか。一生懸命撮影していたら、スタッフに撮影禁止と言われた。しかし構わず掲載。

 人が多過ぎるので最後まで見ることなく自分のブースに戻った。 そして15時半から他のブースを見て回った。 今回会場の明るさは3/4になっているが、カメラの露出としては1/3段しか変わらないことになるので、あまり撮影に影響は無かった。

魔法少女まどかマギカのマミさん。最近一番人気のアニメだが、これの版権が降りたので一番ネタが集中した。特に巴マミが多かった気がする。銃のアクションがカッコイイからかな。
すーぱーそに子。これも多かった。最近よく聞くキャラだが元ネタが分からなかった。ニトロプラスのイメージキャラらしい。ニトロプラスは版権が年間契約なので、今回の当日版権の中止の影響を受けなかった。
初音ミクは以前から多かったネタだけど、今回は当日版権の縮小した事でこれを選んだ人も少なからずいたと思う。ネタは被っても根強い人気。
 やはり、当日版権の縮小からネタの偏りが激しい。 あとは東方とかラブプラスとかを良く見た。

最近話題の撮影用ライト、フォトラを使って展示している人もいた。 さすがに明るくて綺麗に撮れる。 カメラの露出で言うと会場の明るさよりも4段は明るく撮れる。 ISO100でもF5.6で1/50秒くらいの明るさ。これならコンパクトカメラでも手持ちで撮れるくらいの明るさですね。
ネタ系としてはこんなの。レディーガガが徹子の部屋に出た時の衣装を再現。私は1つしか見なかったが、3つくらい同ネタがあったらしい。

 全体的には新作は確かにあったが、やっぱ全体的にちょっとおとなしいなぁと言った印象を受けた。 まぁ仕方ないけど。


かえる

ウチのブース付近。ミクが解体されていく。
 全体を見終わってブースに戻ったら16時半。 そろそろ終わり。 結局のところ、時乃さんは1つだけしか売れなかった。 しかも1つはお知り合いが買っていったので、数に入れていいのかどうか。 まぁ、とにかくそういう結果に終わった。

 17時になったので撤収。 例によって荷物箱のフタが固定できない状況なので、佐川のブースにあった養生テープでフタが動かないようにぐるぐる巻きにして出した。 今回は佐川ブースが近い事もあってすぐに荷物を出せた。 17時半には会場を後にした。

 東京発18:50の新幹線に乗った。 家に着いたのは22時15分くらい。 子供がまだ起きてたので寝かせつけ。 明日は休みを取っているので、私もゆっくり寝た。


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