萌えない造形の行く果ては


結果考察
情報はシェアされるべきものだ。

帰り道。寂しいなぁ。

 今回の結果 (売上数/生産数)

 麻生華澄14/30
 鳩子ちゃん22/30
 神尾観鈴3/15
 ハティ14/15
 白雪美帆6/7
 タコとマリネ0/10
 小星ちゃん3/5

 とりあえず考察をしてみる。(酷評かも知れないが)

華澄せんせー

 ときメモ2も華澄先生も現在の人気としては微妙。 キャラ萌えによる効果がどれほどであったかはちょっとよくわからない。 ただ、スレンダー+爆乳というエロパワーが結構あったと思われる。 この辺は最近のワンフェス傾向に近いと思う。 もちろん、以前書いたようにただ露出度が高いだけでは売れるはずはなく、その辺を高いレベルでまとめられたひろみかんさんの実力あってのこと。 残念ながら完売はしなかったが、価格とキャラとを考えれば大健闘であると思う。

 また、1人のお客さんに「キットの状態を見せてください」と言われた。 今回は業者抜きであったこともあり、その辺は保証付きだったが、やっぱりそういうニーズがあるんだなぁと改めて思った。

鳩子たん

 エンジェリックレイヤー見てないのでこれもキャラ人気分からず。 でも、感覚的には今回これが本命だと思っていた。 写真を撮っていく人もこの作品が最も多かった。 それだけ注目はされていたのだ。 しかし、作品を見て考え込む人が多かったように思う。 いい感じだけど、購入までは...というぎりぎりのラインだったのだろう。 昼以降の売上が多いみたいだから、数値からも迷ったあげくもう一度ブースに来て買ったという人が多いという事が分かる。

 寝ポーズというのは立体である利点をあえて殺してしまう要素を含んでおり、フィギュアというよりレリーフに見えてしまう。 作品としては面白いけれど、純粋に鳩子が好きな人にとっては通常のポーズのフィギュアが欲しいと思ったんじゃないかな。

ハティ

 完全な再販であり、特に言及することはないが...。 後1つで完売という微妙な結果。 もう再販はする気はない。 ただ、少し気になったのは、今回女性のお客さんが3人ほどいたということ。 アルジェントソーマって女性ファンも多いんですかね。 まぁ、別に問題はないけれど、ちゃんと作ってもらえるのかな。

美帆 開眼ver.

 ほとんどやる気なしで作ったが、意外と売れた。 以前の美帆真帆2体で6000円よりも、1体3000円の方がお手軽で買いやすいと言う理由がやはりあるだろう。 そしてもう1つはその名の通り、目が開いているということ。 造形的には手を加えたところはほんのちょっとなのに、前回1体も売れなかった物がそれなりに売れたというのは結構ビックリした。

「キャラが目を閉じているのはマイナスだが…」(by 久具津巧)

 やはり目を閉じているという点は相当なマイナスだったんだろうか。 それなりに雰囲気が出ていれば、そうでもないと思っていたんだが。 1つ勉強になった。

 塗装してくれたKENCHANさん、ありがとー。 おかげで善戦だったよ。

タコとマリネ

 残念ながら1つも売れなかった。 造形的には良いので、原作が好きなら買ってもらえると思っていたが、知ってる人自体がやっぱり少なすぎたみたい。 フィギュアの中に激萌え!な部分があれば知らなくても買っていく人もいただろうが、これは作品の持つ雰囲気を無難に抑えた作風であるため、やはり原作の人気に依存してしまうようだ。 特にワンフェスは原作依存度が高いと思うし。 クリカニみたいなイベントで出せば、もっと注目を浴びたかも知れないね。

小星ちゃん

 のぼるさんのイベントデビュー作。 最後の塗装を手伝ったこともあり、結構気になっていた。 ぴたテンは私も好きだし、作品もメジャーではあるが、やっぱり美紗や紫亜の人気が主で、小星はマニア系かも。 ただ、ぴたテンといえばDVD付属フィギュアがあるので、ワンフェスで出すとしたらそれを超えるものか、別方向であることが必至。 厳しい土俵であったといえばそうだったかも知れない。

 のぼるさんは絵心のある方だから、ご自分のセンスを素直に作品に反映させれば、これから良い物が生まれていくと信じています。

観鈴については次章以降で。


自分のための造形

 1年前の2002年冬のワンフェスの報告で、私はこんな事を書いている。

まず自分が創りたい物を見つけ、自分のために作ることに挑戦してみたいと思います。

 今回の観鈴はそれを目指した。 キャラに観鈴を選んだのは、版権が取りやすいからと言う、「売り」目的だったりするが、そこにつぎ込もうとしたアレンジは「売り」とは正反対の物だ。 自分のために作ったのなら、売る必要はないじゃないかという考え方もあるが、逆に自分のために作った物がワンフェスでどのような評価が得られるかという点に興味があった。 だけど、自分の造形はどうやら今のワンフェスで受け入れられる物とは違うらしいという感覚があったため、下手すりゃ1体も売れないかもという予感があった。

 結果としてはアルピーヌさんとCBLGさんとよしざわさんの3人に購入して頂けた。 私のやったことに興味を示してくれた人がいた事に感謝しているが、この観鈴の存在を初めて知り、何かを感じて買っていった人というのが1人もいなかった言うのは、ちょっと寂しい。 けど、それは冷静に受け止めている。

 この作品には、もう少し作りやすくとか、表面処理をしっかりとかいうやり残しはあったものの、ここをこうすればよかったという後悔はこの作品にはない。 だから、今まで作った中で一番気に入っている。 自分を満足させることが出来た。 最初の目的からすれば、大成功なのである。 それで3つしか売れなかったというならば、その結果には満足だ。

「不思議とさわやかな気分だぜ。全力を出し切って負けたんだからな。」(by 中里毅)

 けど、これで終わってしまっては、やっぱり面白くない。 実はワンフェスの帰り道、ちょっと面白いことを思いついた。 それが何かは、まぁ今後のお楽しみと言うことで、今は黙っておきます。 ただ、それも自分的に面白いと思っただけで、他人に受け入れられる物かどうかは別だろうが...。


ワンフェスから得られる物

 なぜ人はワンフェスに出展しようとするのか。 「たくさん売れることが目的じゃないんです。趣味なんだから、自分の作りたい物を作って出展していければそれでいいと思います。」 なんて意見を良く聞く。 だけど作りたい物を作っているだけとか言っていても、たくさん売れたときは嬉しいし、全く売れないときはそれなりに凹む。 ワンフェスは「即売会」なんだから、売るために来ているのは当然。 売るために来てるんだから、売れなかったら意味がないわけで、売れなきゃ残念だ。 でも、たくさん売れるために自分がそれほど作りたくない物を作るのはやっぱり意味がない。 趣味なんだから、やりたくない事を無理してやることはないからだ。

 じゃぁワンフェスに出る真の目的とは何だろうかということになるが、最近それが分かってきた。 それは、

褒めて欲しいから

 書いてみれば簡単なことです。 ここまで簡単に書いてしまうと、逆に戸惑うと思うので、わざと難しく説明しましょう。 哲学者以外の人は下の青い文章は読み飛ばしてください。

 人は生きる上で「自分は何のために生きているのか」という疑問を持つように出来ている。 だから、失業しているときはお金がないと言うこと以上に、自分が社会への存在証明が出来ていない事に不安を感じたりするのだ。 つまり他人に自分のやっている事を認めて欲しいと思うように人は出来ている。

 何かを創作したら、それを発表したい思う本能を人は持っている。 それは、やはり自分を他人に認めて欲しいという欲があるからだと思う。 「欲」と言っても悪い事じゃない。 それがあるから、人は成長するし、それが人類全体の発展につながっているわけだから。

 といわけで、ディーラーというのは自分のやったことを認めて欲しいからワンフェスに出展するわけ。 ところがワンフェスに来る人たちというのは、フィギュアを見るときそれを買って帰るべきか否かという判断しかしない。 いや判断しないというのは正確じゃない。 作品に対しての評価を「買う」という行為でしか示せないという方が正確だ。 だから、ワンフェスでの評価というのはその作品が購買意欲をそそる物かどうかという評価になってしまうという現状がある。

 ところが、ワンフェスには、特に買いたいとは思わないが、立体作品として非常にすばらしいものもある。 そういうものが、数値として低い値になってしまうというのは、やるせないなぁと思う。 自分が買う側に回ったときも、やっぱり買うことでしかそれを示せない事をもどかしく思うのだ。 今のワンフェス、いやガレージキットという形態を取っている以上、そういう結果しか得られないのは分かるんだが...。

 しかし、ガレージキットで育った人間はやはりガレージキットで認められたいと思うし、ガレージキット以外、たとえば展示という体型を取ったところで、評価を具体的に得られる場所はない。 雑誌の投稿や模型コンテストなんかはそれが欲しいかどうかではなく、その作品が持つ真の魅力でもって評価されると言えばそうだが、閲覧者からダイレクトに評価が得られる訳でもないので、なんとなく今ひとつである。

 特に最近では非モデラー層のフィギュアへの興味が拡大しているようで、見に来るだけという人たちの入場も多い。 その人たちからの評価というのも、くみ取ることが出来ればいいのになと切に思うのである。

 そうでないと萌え以外の造形物はすべて駆逐されてしまう...。 コミケと同じ様に...

 なんかアレだな。 観鈴が売れなかった事へのいいわけをしているように見えなくもないけど、基本的に一般論として言っているつもり。 特に最近、売れるものと売れない物が極端になりつつあると思う。 まぁ、それも流行り廃りの一種と言えばそれまでなんだけど。


ワンフェスの未来は

 ワンフェスが産んだこのガレキ文化は永遠には続かないと思う。 ワンフェス自体の規模もかつての5館開催から比較して、縮小傾向にあるということは、誰から見ても明らかだ。 ワンフェスのピークはすでに終わっている。 このままだったらいつか自然消滅するものと私は考えている。

 そうでなくてもいつかはみんなワンフェスを卒業していくはずだ。 私だけではないと思うが、かつてのようにワンフェスから興奮を得られなくなってきている。 だけど出展されている作品は以前より衰えているわけではない。 むしろ上がっているくらいだ。 けどそれを見ても「ああ、凄いな」と思うだけで、興奮することは少なくなった。 これはワンフェスが変わったわけではない。 自分が変わったのだ。 人はそこから新たなことが得られないと感じたとき、興奮が冷める。 それを一般的には「飽きる」という。 けど、飽きることは悪い事じゃない。 人は飽きるから次のステップへ進んでいく事が出来るのだから。

 けど、何かを作りたいという欲求だけは残っている。 その気持ちを受け入れられる器というのはどこかにないのだろうか。 ワンフェスは楽しいところだ。 だけどこれからのフィギュア文化を作っていくのは、今のワンフェスじゃない。 ワンフェス自体が変わるか、ワンフェスに変わる何かのはずだと思うんだが...。

「そうでなければホビーは廃ってしまうのである。」(by かい ようどう)

 まぁ、そんな偉そうなこと言ってるけど、ただ自分の居場所を探しているだけにすぎないのだけど。 結局ここしかいるところはないんだろうなぁ。


次回以降

 今回は本当に疲れた。 今回ほど刻一刻と近づく開催日に焦りを感じたワンフェスはない。 もともと原型着手日も遅かったし、全体的に遅れ気味の雰囲気はあった。 分かってはいたのだから、無理な計画を立てた自分の責任です。

 しばらく休養したいし、仕事の関係で春までにやらなくちゃいけないこともあるので、とりあえず、今年のGWまでは、一切の模型活動をしませんのでフィギュア日記の更新もない物とお考えください。

 次に作る物は決まったけど、それは夏以降ということで。 2003年冬か、もう少し早ければどっかのWHFで出すつもりです。

 それと最後に。 PRカードに載ってた挿絵ですが、なんのキャラでもありません。 えむさん(みずさんの妹)の描かれた絵をまんま載っけただけです。 あまり気にしないように。


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