- 頭の制作 -


 まず頭の芯となる球を制作します。 あとの行程を見ていくと分かると思いますが、これは頭全体の大きさを表したものではありません。 頭から顎の部分を取り除いた、いわゆる「脳」が収まっている部分の大きさです。 ですから、作りたいと思う頭の大きさよりもかなり小さめの大きさになっています。

 さて、初めてファンドに触れる人は、この球を作る時点でいきなりつまずくことでしょう。 なぜなら、この球を作ったはいいものの、全然固まらないからです。 これは直径12mm程度ですが、この大きさでも固まるのには丸1日はかかります。 これじゃせっかくの制作意欲が衰退してしまいます。

 ではどうするか? ファンドは表面はすぐに乾きますが、内部はなかなか乾燥しません。 ですから、たくさん盛りつけるほど乾燥が遅くなるのです。 だから少しずつ乾燥させながら盛っていけば、結果として乾燥時間は早まります。 球を作るのならば、まずは数mmくらいの球を作り、乾燥させたら2mm程度皮をかぶせるようにして一回り大きくする、という作業を繰り返していけばいいのです。

 さらに、ただ球を作るだけなら簡単なことですから、制作を始める数日前にこの球を作っておけば良いでしょう。 私は今作っている物が完成しそうになると、次の新作のためにこの球を作っておきます。

 球が出来たら、そこに顎となる部分を盛りつけます。 この時点ではまだフィギュアの顔という感じが出ていませんが、焦ってはいけません。軽く触っても形が崩れない程度になるまでまた乾燥させます。

 次に鼻を盛りつけます。 スパチュラを使って形を整えましょう。 鼻と言っても「鼻」というパーツがあるワケじゃありません。 眉間から顎のあたりが全体的に盛り上がっているというか、正面の顔の起伏を決めると言った感じでしょうか。 ですから、鼻を盛りつけると同時に唇のまわりも盛りつけることになります。 だからこの時点で口も作ってしまいましょう。 ここでは、閉じた口を作るのが目的なので、口ラインを入れているだけですね。

 次に頬と額に盛りつけを行い、目の周りの形を決定していきます。 目の玉だけがない状態です。 ちょうど、ドールの素体のヘッドのような状態でしょうか。

 水分を多めに含んだ柔らかいファンドをスパチュラで少しずつ盛り、「フィギュア顔」になるように調整していきます。 当然盛るだけではなく、削ることもしながら形を整えます。 この段階になると少量のファンドの盛りつけになるので、乾燥も早いので、乾燥待ちで時間をとられることもないでしょう。

 特に先に盛った顎と、額の高さとのバランスを考えて調整してください。 額が低いとサルのような顔になってしまいますよ。 また、目のくぼみ深さの調整や、頬から顎のラインなど、この時点でほぼ作家の個性が決定されます。 自分が最も良いと思う形になるまで頑張ってください。

 また、この段階でなくてもいいですが、ここでは耳と首を盛りつけています。 私は耳がないと顔全体のバランスがつかめないので、髪で隠れる作品であっても、この時点では必ず着けます。 また、私は首は頭の一部分と認識しているので、首はかなり早い段階で着けてしまいます。

 次に目を作ります。 目の部分がくぼんだ状態になっているはずですので、目の周りに肉付けして、目の位置を決定します。 よって眼球の部分が周りよりも一段へこんだ状態になり、目の輪郭が出来ます。

 同時に瞼を着けてフィギュアの表情を作っていきましょう。

 そして最後に眼球を作ります。 前の段階でできた目の中へファンドを盛りつけ、凸面の目の玉を作ります。

 これで目も完成です。 目は塗装してみないと表情が分かりにくい事から、ここにペンで瞳を描き入れてみて、目の大きさなどを調整するのも良いでしょう。

 あとはモデルとなるキャラクターを見ながら微調整をしていきます。 全ての方向から見て自然な形を出すのは難しいですが、この調整作業はキャラクターへの愛があればかなり楽しい物になるはずです。

 最初のうちはここでかなりの時間をとられると思いますが、数をこなしていけば、結構短時間で思い通りの形が出せるようになります。

 また、どうしてもうまくいかないときは、手本となるフィギュアを用意して、それを真似して作っていくのも良いでしょう。 自分では上手く作れない部分を、その人がどのようにして解決しているかをよく学び取ってください。