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ミニ四駆に関するメモ。

ネット上にはミニ四駆の改造に関する情報や記録がたくさん見つかります。これは大変参考になる物が多いのですが、実際確かめてみるとその通りにならない事が多々あります。とはいえ、それを書いた人は嘘をついているわけではありません。ある改造をしたら、速くなった。そういう事実があったあとしても、それがその人の仮説通りの理由で速くなったわけではなく、違う要因で速くなった可能性があるわけですが、そこまで検証した報告はほとんどないのです。

つまり、実際に自分で確かめていない情報はすべて仮説なわけです。よくよく考えてみれば、これはミニ四駆に限った話ではなく、人から聞いた話はすべてそうなんだと気付かされます。

ここでは、私がミニ四駆でいろいろ試して気が付いたことや、他サイトを見ていて思ったことなどをメモしています。でも所詮は私の想像や思い込みもあるので、あくまで何かを考えるきっかけ程度にしていただければ幸いです。

ローラー幅は広い方が良いのか

ローラー幅をレギュレーションいっぱいの105mmにまで広げる事は、当たり前の改造とされている。当たり前すぎるので、キット素組の時点からそうなるようにしておいてくれと思うくらい。ミニ四駆はコースの壁にぶつかりながら走るので、車幅が広ければそれだけコース内で左右にブレる量が抑えられるのでスムーズに走れるとか、それだけマシンがコースの内側を走るので速くなるとか言われている。

少なくともコースの内側を走るというのはほとんど影響ないと思う。キット素組の状態よりも、レギュレーションの幅いっぱいにした状態の方が、3mmコースの内側を走る事になるわけだが、計算すると円を1周するのに18.8mmの差しかつかない。JCJC3セット分で3週のコースでもこの差は170mmにしかならない。マシン1台分の差がつく程度。これが勝敗を決める要因になる事はまずないだろう。

ところで、車幅が広い事にデメリットは無いのだろうか。

単純に考えて、車幅が狭い方がジャンプでコース内に着地できる確率は高いと思う。コースアウトの99%はジャンプからの着地失敗なのだから、コース内でのブレなんかよりも着地の安定性を重視しなければならないはずなのに、なぜ車幅を広げる事を優先するのだろうか。

ローラー幅を広げなければならない理由はレーンチェンジだと思う。普通のレーンチェンジは、上って下りつつS字カーブするわけだが、速度を上げれば、上りから下りに変わる所でジャンプしてしまう。そしてローラーが壁よりも高い位置まで上がってしまうとそのままコースアウトする事になる。よって、レーンチェンジでは強制的に車体を下に向ける力が必要になる。そのため、フロントローラーを斜め下向きになるように取付け、ローラーが壁に当たるとフロントバンパーを下へと導くようにしてやる。

ただし、これはローラーが壁に当たっているときにしか下向きの力は発生しない。レーンチェンジはS字カーブになっていて、まず右のローラーが壁に当たって車体が左を向き、次に左のローラーが壁に当たって車体が右を向く事になるが、右から左へと車体が方向を変える時、左右どちらのローラーも壁に接触していない時間が存在する。この間は車体を下に押し下げる力が無くなるわけだが、ローラー幅が狭いと、この時間が長くなるため、レーンチェンジでコースアウトしやすくなる。だからローラー幅は目いっぱい広げたいのだ。

ちなみに公式レースとかではバーニングチェンジャーというレーンチェンジがS字ではないサーキットがあるが、この場合はローラー幅を広くするメリットが無いのではないか。と私は考えているが、公式レースを走る機会が少なすぎて、それを確かめる事はできていない。

フロントローラーに19mmは使わないの?

ローラーは大きい方がコースの継ぎ目の段差の影響を受けにくくなるため、大きい方が良いとされている。また5レーンの公式レースはコースの継ぎ目の段差が大きいこともあり、公式レースの優勝マシンはフロント、リアとも販売されているローラーで最大である19mmローラーを使っている事が多いが、商品の説明書では19mmローラーはリアに付ける物のように扱われている。なぜか考えてみた。

1. スラスト角を付けにくい  現行のシャーシはワイドステーを付けてそれにローラーを付ければ、5度くらいのスラスト角が付くように作られているが、19mmローラーはシャーシのネジ穴に直接付ける事になるので、スラスト角が付かない。スラスト調整チップを使うか、バンパーを切り落とすなどの改造が必要になる。

2.強度の問題  フロントは強い衝撃を受けるため、薄いアルミ製の物は衝撃で歪む可能性がある。しかし19mmで頑丈な物は現在発売されていない。オールアルミでも曲がるときは曲がるらしい。

3.噛むタイプのものが無い  S字スロープのレーンチェンジを高速でクリアするためには、スラスト角を付けたフロントローラーを壁に当ててダウンフォースを得る必要がある。この場合、壁との接触面が平らで厚みがある物や、ダブルローラーが理想だが、19mmではそのようなタイプが発売されていない。ただしレーン展示が180度ターンでレーンチェンジずるコースの場合は関係ない。

4.スタビが大きくなる  フロントローラーの軸はそのまま上方へ伸ばし、スタビライザーとするのが一般的な改造法であるが。ローラー径が大きいとポール径とローラー径の差がありすぎて、スタビライザーが機能しにくい。だから、タイヤのホイールを使ってスタビを大きくしたり、カーボンプレートを加工してスタビを作ったりして対策する必要があるが、初心者には難しい。

5.リアブレーキの構成に制約が出る  ステーの穴位置を見ると分かるが、フロントローラー取付のネジ穴の位置は、ローラー径が大きい程前寄りになる。ローラーとタイヤに当たらないようにするために当然こうなるわけだが。さらに19mmローラーは径が大きく、バンパーから前方側にもはみ出すことになる。ミニ四駆の全長は165mmとルールが決められているため、前方にはみ出すと、それだけ後方を短くする必要があり、それだけブレーキやマスダンパーを取り付けるスペースが無くなる事になる。

6.マスダンパーが配置しにくくなる。  レギュレーションでは、回転するマスダンパーは前後のローラー軸を結んだ線の内側に入れなくてはならない。ローラーが大きいとそれだけマスダンパーの配置できる範囲が狭まり、セッティングに制約が出る。両軸モーターの場合、シャーシの幅が広いので、19mmローラーを使うとサイドにマスダンを置くスペースに余裕がなくなる。まぁ、スクエア型マスダンパーを使えば関係ないが。

私の経験上、19mmローラーにしたらスピードが上がったという事が無く、ローラー径よりも、抵抗が少なく良く回るローラーを選ぶことの方が重要に思える。

ローラー使い分け

プラリング付ベアリングローラー

リアローラーの定番。ベアリングで回転抵抗が少ない上に壁との接触面が低摩擦素材であるために減速が最小限に抑えられる。さらに軽いという事で、スピード重視ならこれになる。19mmはプラリングの接触面が丸いのに対し、17mmの物がプラリングの接触面が平らなので、17mmの方が姿勢制御の力が強いような気がするが、リアに使う分には影響なさそう。

低摩擦プラ

ベアリングではないのでグレードアップパーツとしては最も低性能だが、何と言っても軽いので、軽量化を重視するならこれ。19mmをリアの上段に使うと低重心化も図れて良いのではなかろうか。私はコストを抑えるためにリアに19mmローラーを使う場合は上段を低摩擦プラにする事が多い。

ちなみにフロントに使うと多分レーンチェンジが入りづらい。あと、19mmタイプより一回り小さいオレンジや灰色のヤツは一見径17mmに見えるが実は16mmなのでレギュレーションいっぱいの幅に取り付けられるステーが無い。

ゴムリング付ベアリングローラー

リアローラーに1組だけ使われる事が多い。ベアリングなので回転抵抗が小さいが、壁との接触面がゴムなので壁とグリップする。これにより、壁と鉛直方向への滑りを抑えられる。また、壁とぶつかった時に多少の衝撃吸収効果があると思われる。ジャンプから斜めに着地してしまったときになど、車体が暴れた時、マシンがコースから飛び出るのを抑える効果が期待できる。だが、実際使ってみると、その違いは実感できない。ただし、ゴムなので転がり抵抗は他のベアリングローラーよりも大きいはず。でも、リアに使うならそんなに速度に影響はなく、何となく黒のリングが引き締まっててカッコイイと思って使っているだけだったりする。

オールアルミ

前後共によく使われる。光沢があってカッコイイし、限定盤で様々な色があるのでドレスアップ重視だとコレ。19mmの中では一番重い。これの軽量版は個人的に一番カッコイイと思うけど、限定発売しかされないのが残念。

ローラー用ボールベアリング

ベアリング内蔵じゃなくて、ベアリングそのものをローラーに使うタイプの物で、かなり頑丈。壁との接触面が平らで厚みがあり、姿勢制御の効果もあって、フロントに最適。幅広でスラスト角によるダウンフォースを得やすいのでレーンチェンジ対策の効果が高い。9mmタイプは小型で軽量である事を活かして、ジャンプの無いフラットコースでは前後ともに使われる事がある。

ただし購入時点では意外と回転抵抗が高く、13mmや11mmをリアに使うと遅くなる。脱脂すると速くできるが、重いのでやっぱりリアには普通使わない。13mmタイプはベアリングの周囲にさらに金属があるので特に重い。指で弾くと13mmは良く回るが、これは重いから慣性力で止まりにくいだけの事で、本当に回転抵抗が少ないわけではない。

壁との接触面の幅は、13mmタイプは2.5mm,11mmタイプは4mm,9mmタイプは3mmと全部違う。当然厚みがある方が安定性が高い。また、11mmタイプはステーによってはネジ穴が無いので注意。

2段アルミローラー

レギュレーション上、2段ローラーは1個と数えられるのでお得なローラー。フロントに使う事が前提のローラーで、上段の方が1mm径が小さく、通常は下段が壁に当たるが、姿勢が乱れた時は2段で壁に食いついて姿勢制御してくれる頼もしいローラー。上段がゴムリングになっている物はさらに姿勢制御効果が高い。レーンチェンジや、ジャンプ着地直後に前のめりのままカーブに突入した時などは効果を発揮する。アップダウンの無いフラットコース用の高速マシンでは、唯一のアップダウンであるレーンチェンジ対策として右前だけに9-8mmを使っている例も良く見かける。13-12mmはデカくて重いのが欠点か。ちなみにこのローラーを使わなくても、スタビライザーで十分姿勢制御は可能だと思う。

マスダンパーが制震する理由

上下に動くことが出来るオモリを取り付ける事で、ジャンプからの着地時に車体がバウンドしなくなるマスダンパーというシステム。なぜこれでバウンドが抑えられるのかという理屈において、勘違いしている人が多いように感じる。

着地時にオモリが車体よりも後から落下してくることで、バウンドしてくる車体を時間差で上からオモリが叩きつけてバウンドを抑えると考えている人が多いようだが、この通りの現象が起こるのはかなりまれなケースだと思う。車体もオモリも一緒の速度でジャンプするのだから、落下速度も同じになるはず。実際には車体は空中でわずかに姿勢を崩すので、その際にオモリが車体よりも少し浮いた状態で着地することもあるだろうが、毎度オモリが可動範囲の上端から叩きつけるわけではないので、この効果は無いに等しい。

超速ガイドでは、ニュートンのゆりかごを例に挙げて、解説している記事もあったりするけど。これによって何を解説しようとしているのかさっぱりわからない。ニュートンのゆりかごは球がぶつかった反対側の球が弾かれるのに、ミニ四駆はバウンドしているから全然違うと思うんだけどな。

マスダンパーが制震するには、オモリが車輪から見てある程度弾力を持った物の上に載っていることがまず大前提。例えばサイドマスダンパーの場合、サイドバンパーにFRPプレートを付けて、その先にオモリを付ける。車体が落下して地面に当たった時、オモリはFRPプレートを沈み込ませようとする。FRPはサイドバンパーをねじるようにして沈み込む。サイドバンパーがねじれの反発で元に戻ろうとすると、FRPがオモリを跳ね上げる。この一連の動きにはある程度時間がかかるので、車体がバウンドして跳ね上がろうとしている時には、まだオモリはFRPを沈み込んでおり、力が相殺して車体のバウンドを抑える事になる。跳ね上がったオモリは可動範囲の上端に当たり、そのまま車体を持ち上げる力を生むが、上に動いた分だけエネルギーを失っているため力は小さい。

つまりオモリと車体でバウンドにかかる時間差があることで、制震効果が生まれる。最近では、ミニ四駆キャッチャーに使われている軟質プラを使ってオモリを付ける事で制震効果を得る改造方が考案されているが、これなんか、まさしくそれを証明している例といえよう。

固いシャーシの上に直接オモリを載せても制震効果を得にくい。フロントバンパーの上にマスダンパーを載せる例があるが、これだとオモリがあまり跳ね上がらず、効果が低い。それでも安定する事があるのは、単にフロントが重くなって跳ねにくくなっただけだろう。ボールリンクマスダンパーのようにアームの先にオモリを付けるタイプの物は、アーム部のしなりが跳ね上げの弾力になるので、効果が高いと言える。

提灯はなぜ優秀なのか

提灯というのはマシンの後方から前方に向けて、ヒンジ上に動ける2本の腕を取り付け、前方でその2本を橋渡しする形で繋ぎ、前輪の後あたりにオモリをぶら下げるという改造方法で、ぶら下げたヘビータイプのオモリが提灯のように見える事から、その名がついた大型制振装置。このアームをボディの下に潜らせて、ボディ全体をマスダンパーとして動かすボディ提灯や、さらにボディからマスダンパーも取り付けるヒクオ、前方から後方へ腕を付けるフロント提灯などの発展形があり、大会上位入賞者はほぼ全員が採用しているポピュラーな改造方法。

これが高い制震効果を得る理由。それはもちろん、車体全体を使った大きなアーム構造のため、アームのしなりによるオモリの跳ね上げ効果が高く、可動範囲が大きく取れる事がメリットなのだが、もう1つ重要な点がある。

それは左右のオモリが連結されている事。マスダンパーは着地の衝撃によりオモリを跳ね上げるシステムであるが、通常のマスダンパーの取付方法の場合、ジャンプの姿勢が悪くて右から着地した場合、右のマスダンパだけが跳ね上がり、左のマスダンパーは跳ねない事がある。これでは効果は半減する。しかし、提灯のように左右が連結されていれば、右から着地した時も両側のオモリが跳ね上がるので、2つ分のオモリの効果を確実に得ることが出来る。提灯系の制振装置が優れている点はここにあると思う。

提灯系は見た目がカッコ悪いので私などは採用に消極的なのだが、ボディが開かずとも左右のオモリが連動する仕組みが作れれば、提灯系と同等の制震効果を得られると考えている。ノリオなんかはその例ですね。

細いタイヤが速い理由

自転車のタイヤのごとく細く加工すると速くなるらしい。実際私はやったことが無いのだが、ネットにある検証動画とかを見てもこれは疑いようのない事実のようだ。なぜ速くなるのかというと、地面とタイヤの接地面積が減る事で、コーナーでの摩擦ロスが減るからだ。という事が良く言われている。これには接地面積と摩擦力は実は関係ないという物理法則があるよという反論や、いやゴムは柔らかいのでその物理法則通りにならないんだとかいう話もあるがそれは置いといて。

接地する部分が細ければ速いっていううなら、バレルタイヤやオフセットトレッドタイヤはどうなの。これと比べても細いタイヤの方が速いっていうなら、接地面積が速さの要因ではないよね。

多分タイヤを細くする事は、単純にタイヤの体積が減る事で、回転部分の軽量化の効果を得ているって事じゃないんですかね。ペラライヤでも軽量化が可能だけど、タイヤ径を大きくしつつ軽量化をするには、タイヤを細くするのが一番合理的。ということなんじゃないかなぁ。あんまり自信ないけど。

ジャンプで車体が前上がり/前下がりになる理由

ジャンプの姿勢はマシンによって前上がりになったり、前下がりになったりする。フロントバンパーにウエイトをつけて前を重くすると前下がりできる。これは、重いから前が下がるのだと思いがちだが、物理の法則では、重い物も軽い物も落下速度は同じ。前が下がる理由は他にある。

基本的に後輪より前輪の方が先に地面から離れるのだから、普通に考えると前下がりになる。前輪が上りスロープに入った時に前が跳ね上げられる事で、前が浮き上がるのだと考えられる。また、フロントアンダーガードやフロントブレーキを付けて前バンパーを低くしていると、上りスロープ突入時により強く前が跳ね上げられることになる。フロントを重くする事で、この跳ね上げを抑えることが出来るわけだが、フロントバンパーを高くして床と接触しないようにすれば、前が跳ね上がるのを抑えることが出来る。

つまり、オモリを付けなくても、フロントバンパーの改造で姿勢の調整は可能。だけど、リアブレーキだけではブレーキ力が足らない場面ではフロントブレーキに頼らざるを得ないので、出来る範囲には限界があるかもしれない。

ただし、スロープ進入時にフロントバンパーが地面に当たっても、フロントが重かったり、マスダンパーだけ跳ね上げられたりする事で、その影響を抑える事も出来る。

ジャンプで車体がヨーイングする理由

ジャンプの姿勢が真っ直ぐにならないという悩みは誰もが経験する悩みではある。前上がり前下がり、右下がり左下がりといった現象は何となく対策が分からなくもないが、車体は水平のまま、空中で旋回するように回転する場合があるが、これはどういう現象か説明できるだろうか。

ジャンプでは最後に後輪で地面を蹴って空中へ飛び出すわけであるが、この時左右均等の力で地面を蹴り出せば、真っ直ぐ前に飛び出すことが出来る。しかし、最初にフロントが上りスロープに突入した時にフロントが跳ね上がり、次にリアがスロープに入った時にリアが跳ね上がる事で、車体の姿勢は小さく乱れる。姿勢を崩したままジャンプするに至り、最終的に片方の後輪で地面を蹴り出した場合、車体は空中で旋回する。

右後方タイヤで蹴り出した場合は、車体が左に旋回する事になる。このまま空中に飛び出せば左前バンパーが壁に乗り上げる形で着地する。また同じく右後方タイヤで蹴り出しても、車体が空中に完全に飛び出る前に、左旋回したことで右リアローラーが壁に当たると、その反動で右旋回する形で空中に飛び出す。この場合は、左後ろバンパーが壁に乗り上げる形で着地する事になる。左後方タイヤで蹴り出す場合はその逆。

対策としては、左右のタイヤの水平を出す事と、ブレーキを利かせすぎない事。ブレーキをバネ式にして、上りスロープ突入時の後輪の衝撃を和らげる事などが考えられるが、カーブ出口直後がジャンプになっている場合は、安定した対策がしづらい。スライドダンパーを付ける事で改善する場合があるが、これもどうも安定性に欠ける。ある程度まで改善出来たら、あとは着地を失敗しても復帰できるチューンをした方が良いかもしれない。

ジャンプで車体がロールする理由

ジャンプで、車体が左右どちらかだけが下へ落ちるように回転する現象。コースに対して少しだけ斜めにジャンプし、かつフロントの方が高くなる姿勢となった場合に起こる。フロントバンパーはコースの壁より高い位置になっていおり、リアローラーがコース壁に接触したとする。この時リアローラーがコースに対してアッパースラストの状態で当たり、その部分だけ上に上がろうとするため、反対側が落ちるように回転する。

ジャンプ姿勢が前下がりになるように調整するか、このまま着地しても復帰できるように対策を取るか。じゃないだろうか。

平らなタイヤの方がジャンプの姿勢が良い

ローハイトタイヤ、大径ローハイトタイヤ、ペラタイヤではジャンプの着地成功率が上がるようだ。どうもタイヤの接地面が平らな物はジャンプの姿勢が良くなる傾向があると思う。バレルタイヤやオフセットトレッドタイヤはもちろんだが、大径スリックタイヤも接地面が丸いので、着地が失敗しやすいようだ。

推測される理由は、タイヤ接地面が広い方が横滑りしにくいから、カーブ出口で車体がイン側に押し戻されにくく、コースに対して真っ直ぐ抜けられるのではなかろうか。これにより、カーブをを抜けてそのままジャンプとなるコースの場合は真っ直ぐジャンプする事になる。

小径タイヤのメリット

ミニ四駆において、タイヤが小さい事のメリットは何であるというと、重心が低くなるので安定すると言われている。ローラーでカーブを曲がるミニ四駆において、重心が低いから横転しにくいという事は無いのだが、小径を履く事でバンパーが低くなれば、着地後のバウンドでコースアウトする確率は減るので、そういう意味でのメリットはあるだろうね。

でももっと重要なメリットは、タイヤが小さければそれだけ軽量化できる事だと思う。大径タイヤとローハイトタイヤでは、それだけで8g程度の差が出るので、ローハイトを使うだけで速度アップする可能性はあると思う。とはいえ減速比を高速に設定したい場合は大径を使う必要があり、この場合はスポンジタイヤにゴムタイヤをかぶせるなどの構造にすることで軽量化をするわけですね。私はそこまで高速設定にする必要に迫られたことが無いのでやったことが無いですが。

スタビポールはほどほどが良い

フロントバンパーの両端に棒を立て、車体が傾いた時に壁に当てることで転倒を防ぐスタビライザー。通常はフロントローラー軸をそのまま上に伸ばすことで実現しているが、これだとローラーの半径の分だけ車幅よりも内側に配置されることになる。しかし、より広く、より高くしたほうが効果が高いという考えから、軸からさらに外側へ接触面を作る改造がされている例がある。しかし、これは逆効果ではないだろうか。

コースアウトの99%はジャンプからの着地失敗。着地で綺麗にコース内に着地できなかったマシンは、なんとかコース内へと斜めに滑り落ちる事で復帰しなければならない。しかしスタビライザーが車幅目いっぱいで、コース壁高さ同等まで高くしたスタビライザーだと、コース内に落ちづらくなる。これはコース復帰率に大きく影響する。

また、カーブでは、2段にしたリアローラーが横転を抑えてくれるので、スタビライザーなんてなくても大丈夫のはず。

スタビライザーが効果を発揮するのは、ジャンプ後のカーブ。着地でリアがバウンドして浮き上がり、前のめりの状態でカーブに突入してしまった場合、カーブでリアローラーが機能しない。この時はスタビライザーが横転を防いでくれる。もちろん、より広く、より高くした方がその効果は高い。

つまり、コース復帰率の事を考えれば、スタビは無い方が良いし、ジャンプ後にカーブがあるコースでは広いスタビがあった方が良い。よって、そのバランスを考えて、そこそこの幅、そこそこの高さに抑えておいた方が良いと思う。なんでもかんでも幅いっぱいにすればいいわけではないのだ。

タイヤの名称

ユーザーの間では直径31mmを大径、26mmを中径、24mmを小径という名称で呼ばれているが、商品名で中径という名称はない。商品名では中径はローハイトと呼ばれている。しかし大径ローハイトなんていう名前の物があって、この時点初心者は混乱すると思う。

どうやら下記の通りの意味のようだ(自信が無いけど)。

大径:タイヤ直径が31mm

小径:タイヤ直径が24mm

ローハイト:タイヤ直径が26mm

大径ローハイト:タイヤ直径は31mmでタイヤが薄く、その分ホイールの直径が大きい。

小径ローハイト:ローハイトの事。昔は直径が31mmより小さい物を小径と呼んでおり、26mmタイヤは小径のローハイト版なのでこう呼ばれていたらしい。しかし26mmタイヤはすべてローハイトで、ローハイトは26mmの物しかないという状況になったので、ローハイト=26mmタイヤの事を言うようになった。さらにその後、大径のローハイトが登場したが、単にローハイトというと26mmという表現は改められていない。

ナロー:後輪が前輪と同じ幅になっているということ。

でも大径ローハイトタイヤの後輪は前輪と同じ幅だがナローとは言わない。大径ローハイトは必ずタイヤとホイールがセット販売であり、他の形状のホイールとの互換が無いので、後輪幅を区別する必要が無いからだろうか。

ローハイト(=中径)は、前後で幅が同じだが、ナローとは言わない。ローハイトは発売されている物は全部前後で幅が同じなのでわざわざナローと言って区別する必要がないという事だろうか。

後輪のタイヤ幅が広い同じような商品がある場合において、それと区別したいときに付ける修飾子といった感じだろうか。

スーパーX・XX:シャフトを指す位置がホイールの内部に食い込んでいて、いわゆるマイナスオフセットになっているホイール。スーパーXとスーパーXXシャーシ以外では普通に取り付けるとシャーシにぶつかって使えない。

でも、MS,MA,ARシャーシにおいては、これ以外にも取り付けるとタイヤがシャーシと干渉する物があるが、明確にアナウンスされていない。

いずれも、これまでのミニ四駆のパーツの歴史を熟知してないと言葉の意味が理解できず、公式の解説もない。上級者であっても商品名から仕様が想像しづらいという現状は何とかすべきだと思う。

ステアリングシステム

夢パーツどころかダメパーツ。何がダメなのか知りたかったので自分なりに分析してみた。

パーツが軟質で精度が低く、遊びが大きいため機能しないと言われているが、たとえ硬質で高精度にこれを作ったとしても、意味をなさない。

このシステムは車輪が切れる角度が斜めになっている、いわゆるキャスター角を付ける事で、タイヤの向きを変えようとしているわけだが。あくまで四駆で無ければならないという縛りがあるので、タイヤの向きが変わっても車軸から伝わる駆動力が伝わるようになっている。ところが車輪が回転すると、最も抵抗が少ない所で安定しようとするため、車輪は真っ直ぐになろうとする。車輪が向きを変えるにはこの抵抗に打ち勝つくらい強い力で横に押され、かつタイヤが地面に対して滑らないようにグリップする必要がある。車輪が向きを変えたとしても、マシンの進む向きが変わるとそれだけ壁を押す力が減るので、車輪は真っ直ぐに戻ろうとする。よって、車輪が真っ直ぐになろうとする力と、マシンが壁を押す力が釣り合う所までしか車輪は向きを変えないのである。マシンが壁を押す力を増すにはタイヤのグリップ力を上げる必要があるわけだが、タイヤのグリップを上げることはカーブを遅くする作用にしかならないので、絶対にスピードアップにはならないというわけ。

スライドダンパーと連動させる改造法も面白いが。これはタイヤのグリップが無くてもステアリングが切れることになるものの、車輪が真っ直ぐになろうとする力に勝つ必要があるという所は変わらないので、ほとんど改善にならないのである。

要は、ステアを切る事で壁を押す力を少なくするから速くなるはずなのに、壁から押される力が無いとステアが切れないという矛盾。速く走る事ではなくて、ミニ四駆なのにステアが切れるという現象を楽しむ物だと言えるが、マシンが速すぎてステアが切れているかどうか目視することも不可能なのである。

S2シャーシとVSシャーシ

初代タイプ1シャーシの構造を受け継ぐ正統派であるVSとS2。数あるシャーシの中で最も軽量であり、シンプル。特にVSは全シャーシ中最も速いと評価されることが多く、VSシャーシを使っている上級者は多い。駆動系の効率が良いとか言われているが、ほとんど同じ構造であるS2シャーシはなぜ上級者にあまり選ばれないのか。

全ての上級者が自らS2とVSを比較検討し、何らかの結論を基にVSを選んでいるわけではないだろうが、なんとなくS2は初心者向けで、VSは上級者向けという印象になっている。

S2は後発のシャーシなのでビス穴が多くて、グレードアップパーツの多くが無加工でつけられるし、バンパーの剛性もVSより高いという点で優れているのだが。フロントバンパーがバスタブ形状になっており、上下幅が厚い。なので地面からバンパーまでの隙間があまり無い。フロントブレーキやアンダーガードを付けるときに制約が厳しい。

上級者はバンパーをシャーシからカットし、カーボンなどのに置き換える改造を施すが。この改造はシャーシの裏からリアワイドプレートなどを取り付ける事になる。S2は分厚いバンパーの形状のせいで、裏面のネジ穴の位置が低いため、裏からカーボンプレートを付けると地面に当たるほど低い位置になってしまう。

VSはフロントバンパーが薄いので、カーボンプレートを高い位置に付けられるが、プレートの穴位置とシャーシのネジ穴位置が一致しないため、ネジ穴追加する加工が必要になるが、上級者ならそれくらいの加工はできる。

というわけなので、バンパーをそのまま使うならS2、バンパーを切り落として使うならVS、という使い分けになってくるわけですな。

ちなみにS2とVSは電池ボックス部分のねじり剛性が全然なく、ジャンプの着地で壁に乗り上げた場合、大きくシャーシがねじれ、それが戻ろうとする力でマシンが吹っ飛ぶ現象が起こりやすいので、私は立体コースには不向きだと思っている。

モーターの性能と電流

モーターは新品よりもある程度使った時点の方が性能が高いらしく、買ったらモーターの慣らし運転(ブレークイン)をすると良いというのは1次ブームのころから言われている事だ。直流モーターは回転するコイルに端子を当ててその接触面を通じて電流を流す。ある程度使い込むと、その接触面がすり減って馴染むので、接触面積が増えて電流がたくさん流れるようになり、力が出るというわけだ。

直流モーターのトルクは電流値に比例する。だからブレークインをしてトルクが増えたモーターというのは、それだけたくさん電流が流れているはず。下位銘柄のモーターを育成した方が上位銘柄を使うよりも消費電力が小さいと思っている人がいるとしたら、たぶん間違い。

流れた電流とトルクは比例するので、ブラシを慣らしてトルクや回転数が上昇したという事は、それだけたくさん電流が流れやすいモーターになったという事なので、消費電力も上がっているはず。

ミニ四駆の速度を決める物

モーター、電池、ギア、タイヤ径で速度が変わるのはもちろんだが、それ以外でミニ四駆の速さを決めるのは、重量とスラスト角がほとんどではなかろうか。速いマシンっていうのは、スラストが浅くて軽いマシンの事だ。それ以外の要素の影響ってかなり小さいんじゃないのかな。

両軸用シャーシは本当に高効率なのか

両軸モーター用のMSシャーシとMAシャーシ。プロペラシャフトを使わない分、駆動効率が良さそうなイメージがあるが、実際にそうだろうか。片軸であれ、両軸であれ、ギアを介して前後のタイヤが連結されているという点は同じなんじゃないかと思う。

でも実際両軸シャーシの方が速い事が多いんだけど。両軸モーターと片軸モーターって同じ銘柄だったら同じ性能なのかっていう部分を確かめた人はいるんだろうか。実は、同じハイパーダッシュでも片軸と両軸では性能が違うのかもしれない。そのせいで両軸が速いのだとしたら、駆動効率ではなく、モーターの差という事になる。

本当に駆動効率を検証するなら、片軸モーター用シャーシに両軸モーターを無理やり搭載して、スピードチェッカーで比較するなどの検証が必要だろう。

両軸用シャーシが速い理由は

私が有力だと思うのは、電池の位置が車体中央にあるため、旋回しやすいという事だと思う。だからコーナーリングが速い。

しかしミニ四駆において、旋回しやすいという事は、ジャンプで姿勢を崩しやすいという事でもあると思う。実際、両軸用シャーシ車ではジャンプで車体が傾きやすいらしく、これをモーターが縦に置かれていることによる、ジャイロ効果だなんて言われてたりもするんだけど、多分ウソだ。

実車でもミッドシップはスピンしやすい。旋回しやすさと安定性は相反する物。両軸はコーナーリングが速く、ジャンプが苦手。片軸はコーナーリングが遅く、ジャンプが綺麗。と考えるといいかも。

FM車の特性

フロントモーター車、略してFM車。モーターが前にあると、ジャンプの姿勢が変わるとか、上りが速くなるとか言われているが、これも嘘っぽい。実車なら、エンジンが最も重い部品であるため、エンジンの位置で重心が決まるのだが、ミニ四駆で最も重い部品は電池。イメージに反してFM車は重心が後寄りになるはず。

また前輪と後輪では、モーターに近い方がトルクが出ているというのも、なんか嘘くさい。トルクコンバーターみたいな動力伝達装置があるわけでもなく、単純に前輪と後輪がギアでつながっている以上、両方は常に同じ速度で回ろうとする。モーターに近い側の方がトルクが出ているような気がするのは、イメージでしかない。

実際には、タイヤへの荷重が大きい方がトルクは抜けない。ミニ四駆のリアにはブレーキやらローラーやらいっぱい物が付くので、リアの方が荷重は大きく、強く路面を蹴っている事になるだろう。FM化すると、電池が後寄りになり、より荷重が後ろに偏る事になるわけで、より荷重バランスは悪くしている事になる。ところが、公式の説明文ですら「重心が車体のフロントよりにあるのでアップダウンが多いコースでも安定感のある走りが可能。」なんて書いてあるから手におえない。

しかし、フロントが軽くなるという事は、フロントローラーのスラストのダウンフォースによる減速を小さくする可能性があるわけで、コーナーリングが速くなる可能性があるが、その分、ジャンプは乱れやすいんじゃないのかねぇ。

それと、ジャンプの姿勢が前下がりになるかどうかっていうのは、ジャンプ直前での床面との接触の仕方でほぼ決まるため、モーター位置は関係ないというのが私の自論。強力に前下がりになるようにバンパーを調整し、極端に重くしたリア側が後から着地する事で、跳ねず走り抜けるなんてのが、FM車の真骨頂じゃないかなぁ。と妄想している。

そもそもフロントモーターにロマンを感じるのは、改造として面白いのでメリットがあって欲しいという妄想と、ミニ四駆マンガにおいて、FM車が強力なライバルとして登場したという演出による物だと思う。

動体視力を鍛えよ!

公式レギュレーションにおいて「選手は、参加した競技の判定に対して異議を申告することができます。」というのがある。実際のレースでは、1位かもしれなかったマシンが他のマシンに接触して順位を落とすという場面がある。このような場合の対策として、意義があれば再レースだったり、被害にあったマシンを予選通過させるとかの処置をしますよ。という事。

実際このようなレース展開になった場合、司会者が「意義があれば言ってくださいね」と促す場合があるが、実際異議申し立てをしたという場面は、私はまだ見たことが無い。

これ、異議申し立ては選手自身が行わなければならないというルールになっているのだが。スタート位置に立っている選手からは、コース全体の見通しが想像以上に悪く、自分のマシンを簡単に見失ってしまうのだ。だから、今のレース結果がおかしいと自分で気付くのは結構難しかったりする。

ミニ四駆なんてスタートさえすれば後はやることが無いと思ったら大間違い。高速で動くマシンを目で追い、異議申し立ての必要があるかどうかをその場で判断するという仕事が待っているのだ。ミニ四駆では選手の事を「レーサー」と呼ぶ。マシンに乗っていない人をレーサーと呼ぶのには違和感があるが、レーサーさながらの動体視力を鍛える必要があるのだ。

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