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ARシャーシの話

ボディを外さなくても裏から電池とモーター交換が可能、高剛性で丈夫なARシャーシ。素組のノーマルモーター状態で比較すると他のシャーシよりも速いのだけど、グレードアップパーツを付けていくと他のシャーシの方が速くなるようで、これならVSシャーシを使った方が良いという事になってしまうようです。

私としては、片軸モーター特有のスリムなボディと、戦闘機やフォーミュラカーのようなカッコ良さからこのシャーシを積極的に使っていきたい。

ここでは私が発見したARシャーシの注意点をメモしています。

重い事が原因ではない

ARシャーシが他のシャーシに比べて重い事を遅い理由と述べている方もいますが、ARシャーシとS2シャーシで同じ重量にしたマシンで、同じモーターで比較してもARは遅いので、重いから遅いわけではないのです。

ARが遅い理由その1…フロントクラウンのガタツキ

ARはフロントのクラウンギアがすぐダメになる。それはARの駆動効率が良いから…ではなくて、フロントクラウンのガタツキが大きく、フロントに負荷がかかるとプロペラシャフトのギアとクラウンギアが舐めてしまうから。

この時ピンククラウンなら歯は欠ける。カーボンクラウンなら歯が変形する。欠けたクラウンギアはさらに舐めやすくなるし、変形したクラウンギアは抵抗になる。

同じクラウンギアを使うS2やVSは問題ないのにARはすぐ欠ける。これはフロント部のクラウンがガタつくのが原因。フロントのベアリングとクラウンの間にワッシャーを入れてガタツキを無くせば結構改善する。シャーシ付属のPOMなら小ワッシャー2個、620なら3個入れる。

ただ、これでもクラウンギアの寿命が他のシャーシより短い事には変わりなく。こまめにチェックして交換することを心がけるしかない。チェックの方法は、モーターを外して指でタイヤを弾いて空回りさせた時、何かに引っかかってガンッてタイヤが止まるようになったり、スタート直後に「ギャー」ってギア鳴りがするようになったら寿命。ARを使うなら、クラウンギアは必ず予備を用意していないと安心できない。

これ以外の部分はARの駆動系は良くできていて、抵抗抜きなんかしてもしなくてもあまり速度変わらないです。

ちなみにARをFM化改造した場合、クラウンギアはプロペラシャフトのギアに吸い付こうとする方向に回るので、非常にきれいに回る。ARがFM化すると速いと言われている理由は多分ここにあると思う。

ARが遅い理由その2…バンパーが固くてスラストが抜けない

S2やVSなんかはカーブでバンパーが壁に押し当てられと、ローラーのスラスト角が浅くなる方向に歪むのに対し、ARはバンパーが固く、シャーシ全体もねじれないのでローラーが動かない。だからデフォルトの5度でカーブに突入すると、ローラーが進行方向に対して斜めに当たる事による摩擦と、強力なダウンフォースによりフロントタイヤのグリップが効きすぎる事で減速してしまう。なので、スラストが浅くなるようにセッティングすると速くなる。経験上、スラスト角2度でもARシャーシはレーンチェンジはクリアできる。

FM化した場合、必然的にバンパーは自作する事になるので、スラストは浅く作られる事が多いだろう。これもARがFM化すると速くなる理由の1つかもしれない。

ARが遅い理由その3…カーボンピニオンしか使えない

ARシャーシはなぜかレギュレーション上、モーターのピニオンギアにはカーボンを使う事になっている。しかしこのカーボンピニオンギアには2種類あるようだ。1つはキットに付属だったり、グレードアップパーツで6個セットで売ってるヤツ。もう1つはS2シャーシのワンロックギアカバーや、AR用セッティングギアセットなどについているヤツで、ランナーから切り離すタイプだ。前者の物は問題ないのだが、後者のランナーから切り離すタイプは穴が緩いようで、使うと滑って空回りする。見分け方は表面がつるつるかザラザラか。ザラザラのヤツはランナーから切り離したやつなので使ってはいけない。

しかし、このつるつるのカーボンピニオンを使っていても、強力なモーターでは緩くなってしまう事がある。なので、モーター軸にヤスリで傷をつけ、油性マジックを塗ってからピニオンギアを挿すことで滑りの対策をしておくしかない。

ちなみにARシャーシはなぜレギュレーション上、紫ピニオンがダメなのかというと「ARシャーシで紫ピニオンをつかうと、割れる事があるから」なんだそうな。

参考→ARシャーシには、何故、白ピニオンと紫ピニオンを使用してはいけないのか

なぜARだけが割れるのかはよく分からないが。タミヤの人達がいろいろ試した結果なんだろう。

プロペラシャフトのゆるみ

片軸モーターシャーシの宿命だが、結構頻繁にプロペラシャフトのギアが緩んで、前輪に駆動力が伝わらなくなる。キット付属の物は特に緩みやすく、中空プロペラシャフトは緩みにくいようで、片軸モーター車は全て中空プロペラシャフトにした方が良い。ただ、ARシャーシの場合はそれでも緩んでしまう場合が多く、そのたびに買い替えを迫られるのは面白くない。

一旦緩んでしまったプロペラシャフトは、まずピニオンギアを抜き、モーターピニオンでの対策と同様、シャフトにヤスリで傷をつけ、油性マジックで塗ってピニオンギアをもう一度押し込めば、再利用に耐えられる。

ただし、プロペラシャフトのピニオンギアを抜き差しするのは、公式レギュレーションとしてはNGなんだそうな。上記の再利用品を使ったとしても車検では分からないだろうが、レギュレーションを遵守したいのであれば、公式レースではプロペラシャフトは新品を使うようにした方が良いと思う。とはいえ毎レースごと換える必要はないんじゃないかな。ピニオンギアが緩むのは、クラッシュした時だろうから。

スプリントダッシュ、パワーダッシュは慣らしをしないとダメ

両軸モーター車より片軸モーター車が有利な点の1つとして、スプリントダッシュ、パワーダッシュという強力なモーターが使える事がある。しかしこの2つのモーター。なぜかハイパーダッシュよりも遅い事がある。でもちゃんと慣らした後ならハイパーダッシュよりも速くなる。つまり開封直後では実力を発揮できないモーターってこと。水に付ける「浅漬け慣らし」をすると全然変わる。

超速ギアでも速度が足らないと感じたら、これらのモーターを使う事になる。特に中径以下のタイヤを使う場合は速度不足になりがち。でも、デザイン的にARシャーシはローハイトタイヤが似合う。それゆえ、これらのモーターを使いこなす必要があるんじゃないかな。

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