らくがきアンケート特別編

「届け!私の思い」
〜豊かな表情を求めて〜

↑これがウワサの館林見晴3rd。多くの人が違和感を覚えたようです。しかしコレをどう評価すべきか難しいところ。
↑こちらは朝日奈夕子3rd。館林3rdよりは違和感がないようですが、いいと言う人とそうでない人に別れるようです。

 海洋堂ときメモフィギュア3rdシリーズは、朝日奈夕子と館林見晴が同時発売となりました。 しかし、その容姿の変貌は、多くのファンに衝撃を与えました。 そこでらくがきアンケートでは、特別編としてこれらの感想を集め、海洋堂及び原型師香川雅彦氏に送ることを企画しました。 これは抗議とか直訴のようなものではなく、あくまで感想を送るという観点での募集です。 香川さんに我々の声が届かないかと...。

 今回はさすがに内容が難しいので数は集まりませんでしたが、とても内容の濃い物となりました。 皆さん違和感を感じたと言うことは共通でも、それに対してどのような答えを出すかと言うところで大きく違いが出まして、とても興味深いですね。

 これと過去の掲示板に書き込まれた、この2作品に関する記事を抜粋したものを海洋堂、香川雅彦さん宛で郵送しました。 まだ、反応はありませんが、今後の香川さんの造形に何らかの影響を及ぼし得るものであると確信しています。

 今回アンケートに協力して頂いた皆さん、難しい内容にも関わらず、本当にありがとうございました。 今後もこのような企画は機会があればやっていこうと思っています。 フィギュアを作ることが出来るのは原型師だけじゃないのですから。

いわた


アンケートの集計結果
疾風 さん
 えっと、初めまして。らくがき塗料箱のホームページの活動の一環としてわたくしも何か送ってみたいと思いました次第です。

 課題の香川さんのフィギュアの造形に関してですけれども、正直言って受け入れがたい印象がありました。ホビーロビーで実際にも見たのですが、朝日奈さんはともかく、館林さんは”似ていない”ので困惑しました。女の子フィギュアは模型として、似ている事が第一に重用だと考えていますので。うーむ。口元や、頬の表現などリアルさとの調和を目指してらっしゃるとの事ですが、素人なりに違和感を感じたという事は何か不完全なところがあるのかも知れません。

 特に館林さんは全体的なまとまりが今一つで、中でも顔の輪郭が頬と口元の影響か不自然に思いました。もしかして上を向くポーズの影響かも知れませんが。対する朝日奈さんは今までとは何か違うな、とは感じた物のそれなりに良く雰囲気が出ていて良い感じです。だた口の表現がやや大げさに感じられましたので、もう少し押さえては如何でしょうか?

 それと造形から来る顔の雰囲気ですが、リアルさを求めたことの結果からか、いささか香川さんらしいキャラクターの持つ個性が引き込んでいる様にも思いました。中途半端に頬や口にリアルさを求めていては単に不調和を生み出すだけなのでいっそうの事目元にも取り入れるか(もっともこうなればもはやときメモのキャラでは無くなり、ヒストリカルフィギュアの一種になる?)、逆に今まで通りの造形の方向で腕に磨きをかけるか....。

 また体自体は個人的にはますます磨きが掛かって来て、文句無しです。アニメのキャラクターと言えども、体自体はリアルさを求めることは場合によっては問題なく受け入れらるかと思えます。ときメモキャラの場合、これが当てはまる(私的には)ので極端でない限りどんどんリアリズム指向で行って頂けたら嬉しいです。

 私は一応スケールモデラー故、服装のしわや肌のしなやかさ等細かな部分に力を入れていただけると実に感動いたします。特に水着版詩織のお目目をつむったのはとても柔らかで良い感じです。やはり各自の個性・雰囲気を体の動きで表現されるところは第一級で、素晴らしいところだと思います。とても微妙なところも違和感無く自然でして....うーむぅ。

 結果としては、私は頭部のみ今まで通りの造形の方が好きです。3rdの詩織・虹野・片桐さん達程度の表現がお気に入り。もっともこれでも他の原型師の方と較べると十分リアリズム指向かな? あまりにアニメっぽいのは好みではございません。もともと2次元のキャラクターだけに無理に3次元のリアルさを求める事自体難しいと思いますが、そこにあえて挑戦される香川さんのこれからの回答に期待しています!

 最後になりますが、私は古式ゆかりさんが好きです。好きと言っても中途半端ではなく、心底愛してます。結婚したいなぁ。 3rdで出るのを期待しております。”はにわ”も館林さんのコアラ同様おまけで付けて頂けないでしょうか? 古式さんはそのぼーっとした雰囲気と無邪気な可愛さが命なので、香川さんが今の調子でどの様に表現されるのかが楽しみです。

 出たら必ず買います!

たるる さん

 まず、朝日奈さん。こちらの方は、今までとカンジが違いますけど、確かに朝日奈さんしてました。イメージ的にも私の持っている朝日奈さんのイメージとそんなに変わりませんでしたので、これはこれでOKかな?というカンジなのですが・・・。

 問題はみはりん。最初見た瞬間、別人かと思いました。一番違和感を感じたのが、口元と瞳のアンバランスさです。良く「口は笑っているけど、目は笑っていない」と言いますけど、カンジが強くて、非常に気になりました。それとチョットだけツッコミを。みはりんのモミアゲがないぞ!(笑)前作まではちゃんとついてたのに・・・ついてたのにーーーーー!!

 と、話は元に戻してと(^^)でも、やっぱり・・・すごいとは思いますけど、今回のこの2体については、私の中ではしっくりときませんでした。なんか全体的にタイミングがズレているというか、体がバラバラに動いているというか・・・そんな印象を受けました。まぁ、顔が私の持っているイメージとかなり違っているのでそう思ったのかも知れませんが。

 まぁ、何だかんだ言って、結局買うとは思いますけどね(^^;

レインボーダスト さん

 新3rdともいえる朝日奈さん、館林さんについて…。いきなりで申し訳ないですが、私にとってはリアル過ぎてお顔の造形が好みにあわないようで… あ、でもですね!中傷のつもりで書いているのではありません!どうか最後までお読み下さい。

 HL大阪の店員さんに伺いました。「香川さんは新しいときめき路線を目指し、頑張っておられます」と!私がとても気に入っているのは「ひとつ間違えば大胆な挑戦とも取られかねない試み」です。確かに私は今までの3rdはとても好きです。最初の詩織、虹野さん、片桐さんはもはや究極にまで被写体に近付いた造形と考えております。この路線を保持していけば、一定の評価は確かに得ることができるでしょう。

 しかし、それでは「新しさ」を探求していくことはできなかったでしょう。今回の館林さん、朝日奈さんは私は好みに合わなかった、と先程述べましたが、それでも「新しさ」は作品からヒシヒシと感じることが出来ました。好みに合わない、というのはまだ私が作品本来の素晴らしさを理解できないでいるだけかもしれませんし…。分かる人には充分分かって頂けるのではないでしょうか?少なくとも「新しさ」は見た人に訴えかけることが出来ていると考えます。

 私の意見は99の絶賛に対する1の反論とでも受け取って頂けたら幸いです。何だか製作歴10ヶ月でしかない私が偉そうなことを言ってしまって恐縮ですが…それでは。

みず さん

● ひなりん3rd

 だいぶ以前のものと顔、特に口元が変わりましたね。なんだか前のほうがよかったなぁ。「人形として」見ればこれが正解なんでしょうけど、朝日奈さんや他のキャラクターは仮想世界の住人なんで前ので正解なんじゃないかなぁって思うのですが。まだ写真だけで現物を見てないので何ともいえないのですが・・・。こちらはきっと買うでしょう。

● みはりん3rd

 これも前の顔のほうがよかったなぁ。ただし何度も観ていると自然にみえてくるのが不思議ですね。もしかしたらこういった口の表現をしたフィギュアを初めて観たためにあまりなれていないだけだったりして。でも今は初夏なんであまり暑苦しいかっこうしたフィギュアは作りたくないかも。

● その他

 香川さんの造った秋穂みのりとか美咲鈴音なんかもみてみたいですね。

Sin_彩 さん

 私ははっきり言ってこの、「3rd館林見晴」は嫌いです。ですが、今までときメモシリーズをそろえて来たので、購入しました。が、造形だけで見れば(館林としてでは無く)、私はこのキットは好きです。私も最近フルスクラッチを始めて、つくづく思いました。こんなに表情豊かに、制作出来る物なのか!と

 この、1/8の小さなキットで、これほどまでの事をされると、今までの制作してきた物が、何か違う観念で作って来た様に思えるほどです。初めて見たとき、はたしてこのキットは売れるのだろうか?と思いました。でも、実際手に取って見たとき、その心配は残りましたが、買えて良かった!と思えました。

 言い過ぎの様な気がしますが、それほどまでに私の中のキットへ対する思いこみと言うのが変わった作品です!。まだまだ、言いたいことはたくさん有るのですが、文字に出来ないのでこの辺にしておきます。

いなさく さん

● 私とフィギュアとの繋がり

 私はフィギュアを組み立てた事がありません。それどころか普通のプラモデルさえ小学生の頃にわずかばかり作ったきりです。フィギュア(女性キャラ物)に初めて興味を持ったのはうる星やつらのラムがキット化された頃からでしょうか。それからはフィギュアを「見る事」には興味が出始め「ホビージャパン」誌などのフィギュア関連記事を時折立ち読み(^^;したりしてます。

● 「3rd朝日奈夕子」の印象

「3rd朝日奈夕子」を初めて知ったのはHJ誌に掲載された海洋堂の広告でした。それまでの「ときメモフィギュアシリーズ」には特に興味が湧かなかったのです(注1)が、これには強い衝撃を受けました。それは今までと全く違ったアプローチのときメモフィギュアだったからです。

 豊かな表情と手の仕草。内面から沸き上がるキャラクターのアイデンティティー。これぞ朝日奈夕子。私はこういう朝日奈さんのフィギュアを心底望んでいたのです! ブラウン管の向こう側にしか存在しない朝日奈夕子が息吹を得て具現化した姿を私は確かに目撃したのでした。

(注1) これもひとえにオリジナルの「絵」に忠実な為です。私はときメモにハマりましたが、あの絵には「あまり」惚れませんでした。もちろん、あの絵を全否定している訳ではありません。ただ、むしろ彼女たちのふるまいや考え方、行動、仕草に惚れたのです。なお、ここまで書いた文を読まれて薄々お感じの事と思いますが、私はときメモの中で朝日奈さんが一番のお気に入りの女の子であります。  

 確かに、姿はオリジナルの絵とは違っています。でも私は思うのです。このフィギュアは彼女の内面までも目にみえる形で表現しようとしたからこうなったのだと。香川雅彦さんのアプローチはアニメキャラに写実的表現を加える事によって表現の深みを出そうとしたのだと私は感じました。私はこういうアプローチは好きです。

 もちろん、アニメ系キャラを変にリアルにするとかえって違和感が出る(悪く言うとグロテスク化する)ものですが、「3rd朝日奈夕子」に関してはアニメ絵的表現と写実的表現との組み合わせかたが丁度良いバランスで混ざっていると思いました。

 少しだけ3rd館林見晴の事にも触れておこうと思います。私は正直言って館林見晴にはあまり思い入れが無いのですが、あえてその立場で言わせてもらえれば、「3rd館林見晴」はアニメとリアルの組み合わせのバランスがちょっと悪い気がしました。歯まで見せる口元のリアルなタッチに対して、あの目の大きさはアンバランスさを感じました。目の大きさはあれよりも気持ち小さめか、「3rd朝日奈」位に小さくてもいいように思います。

● 実物を見て……

 発売前に友人たち(いずれもときメモにハマった経験あり)と秋葉原に行く機会があったので海洋堂によって完成品を見てきました。初めて実物を目の当たりにした「3rd朝日奈夕子」は広告写真で見た時よりも、その表情の豊かさと絶妙なポーズ、手の仕草を見事に表現したものでした。とても感激しました。広告写真を一目見た時から感じていましたが、ここでそれはほぼ確信に変わりました。

 「これは欲しい! 是非とも手にしたい!」……と。

 こうして、私は今まで買ったことも無く、組み立てる自信も技術も無いままフィギュアキットの購入を決意しました。

 ちなみに同行した友人たちの反応はといえば……。

 館林見晴ファンの友人は「3rd館林見晴」に関しては肯定も否定もしませんでした。「良く出来ている」と、とても関心していましたが、特に気に入った風でも無かったようです。(元々フィギュアに興味がなかったのかもしれないです)

 清川望ファンの友人は「3rd朝日奈夕子」を見て「どことなく桂正和のキャラを連想させる」と言っていました。これに関しては私も同感です。桂正和氏のアニメタッチ風キャラにリアルな美少女のタッチを融合させるアプローチはおそらく香川雅彦さんのアプローチと通じるところがあるのかもしれません。

● そして購入、それから……

 こうして私は後日、「3rd朝日奈夕子」を手にする事となりました。発売記念キャンペーンだそうで、くじ引きでときメモのトレカを貰いましたが、なによりも完成品の写真が付いてきたのはとても良かったと思っています。これは実際に組み立てる際に大いに参考になると思います。初めてのフィギュアキットということでハードルは高そうですが、じっくり取り組んでゆっくり組み立てていこうかと考えています。

 私が初めてフィギュアキットを購入するに至ったのは、香川雅彦さんの今回の「試み」に因るところと私の求めていた(私の中に内在していた)朝日奈夕子像とが見事に一致していた事が大きな要因かと思います。更には、このフィギュアにはリアルっぽい表現方法が「朝日奈さんらしさ」を表現するのに良い方向へ働き、「朝日奈さんらしさ」にあふれていたというのもありました。

 そんな訳で、香川雅彦さんには、これからも良い意味での「リアルさ」を取り入れた表現力豊かなキャラクターフィギュアを創っていっていただきたいなと大いに期待しております。

ぽんた さん

 新作3rdシリーズ(朝日奈&館林)についてですが、初めて東京HLにて実物を見たときは、「うわっ、顔が違う・・・」でしたが、しばらく眺めているうちに違和感もだんだんと小さくなってきて(なくなりはしませんでしたが)そのうちに「・・・こういうのも有りかな」と思えるようになりました。

 もちろん、人によっては、「こんなのは認めない!!」と言い切ってしまう人もいるでしょうが、1st、2ndシリーズと、数々のときメモフィギュアシリーズを生み出された香川さんが、3rdシリーズで、新たな趣向を盛り込んでみせるのは、間違ってはいないと思います。

 もちろんキャラクターキットである以上、元キャラに似ているという大前提が必要ですが、GKであるかぎり、原型師、メーカーとしての色、特色が必要だと感じます。某エ○ァのGKなんか、同じようなキットばかりでるので、私は買う気も、見るのも嫌になりました。ただし、あるキャラクターにとって最初にでるキットは、なるべく元キャラに似ていたほうが、買う方としてはうれしいですね。1st、2ndシリーズがなくて、いきなり3rdが出ていたら、私の反応もきっと違っていたでしょう。

 2ndシリーズまでの香川さんの造形に対する私の印象は、「キャラクターを的確にとらえて、そのキャラにマッチしたシャープな造形をする」と言うものでした。なにせ、いままでのときメモシリーズで一番好きなのが2nd紐緒さんですから。あの格好良さは、衝撃的でした。

 3rdシリーズになってからは、より人間らしさというか、やわらかさを感じるようになりました。あの口元の表現は、はっきりと好きとは言えませんが、少なくとも、香川さんでしか表現できない形であると思います。

 どこまで似せるか、どこまで自分らしさをだすか、バランスが非常に難しいと思いますが、そこが原型師の感性にゆだねられるところでしょう。いきすぎたアレンジは、ちょっと引いてしまうところがありますが、ときメモ3rdシリーズとしてはこの路線で良いと思います。

 朝日奈、館林、両方とも購入したきりで、実際にまだ、作っていないので、はっきりと好きか、嫌いかは書けませんが(たぶん、作ったらはっきりするでしょう)今後の3rdシリーズ(出ればの話ですが(^^;)にも期待したいと思います。少なくとも、嫌いではないですね。嫌いだったら買ってません。

怒螺拳 さん

 現在の所まだ現物を手に取っていないので、あくまでも写真だけでの印象です。

 フィギュア自体、最近はリアルっぽいボディにマンガチックな顔というのが、「普通」となっており、あまりその点を追求しようと言う雰囲気がありませんでしたね。確かに純粋に立体の造形物としてみた場合、このくらいの顔が付いている方がバランスは取れているでしょう。ただそれが見て面白い物かどうかは・・・・ちょっと疑問です。

 そういえば、「ロボットアニメ」でもガンダム以降はやたらリアリティを追求する様になってしまい、いつの間にやら本来持っていた「豪快」さや「カタルシス」がどっかに行ってしまったという事もありました・・・・

 やはりある程度の「ケレン味」は必要なのでは?

 「富野監督」氏や「庵野監督」等を見ていると・・・自分が造りたい物と、ユーザーの見たい物がどんどん乖離していってしまっている様な所があります。

 願わくば先人の轍を踏むことの無いように・・・・・

みんみん(吉田 太) さん

 うわさの3rdをじっくり見るのはこの場が初めてです。こうゆう試みは個人的には好きです。いいと思います。が多分この製品は購入しないでしょう。(これ以降はだいぶ邪推が入ってくるので文書を処分されても結構です)

 多分香川氏は実際にときメモキャラたちの様な子たちがいたらどんな感じになるだろうかという思いを込めて作成されたのではないでしょうか。(言い替えればときめきメモリアルな子たち)で、身近でそういう子たちを見かけるような機会があってそれを表現したのだと思いました。だから、表情は生き生きとした感じが出ていて好感を感じたのですが(でもこのキットを完成させるのは大変でしょうが)、私が思っている、実際にこの子たちがいたらこんな感じだろうというものから外れているので、ちょっと購入する気になってません。(ポイントとしては両キャラとも髪の表現を表情に合わせてアレンジしても良かったのではないかというところと、館林さんの目の感じと朝日奈さんの口の感じが違うなと感じました)

 実際の完成品を見ると気が変わるかもしれませんが、とりあえず今は保留ですね。

go-sei さん

 HJ8月号で、香川雅彦さんが、こんなコメントを寄せられておりました。「私の作品は、無彩色のままでも十分、鑑賞に堪える作品を目指したい」

 これを読んで、かつて、山田卓司さんが、「人形(ここではフィギュアをさす)の顔は、造形よりもむしろ塗りで決まる」というようなことをいっておられたのを思い出しました。

 この山田さんのコメントは、今を去ること10数年前のもの(HJガンダム別冊に掲載されていたキャラコレの作例より)なので、現在の造形レベルに即、あてはめられるものでは無いでしょうけれど。フィギュアの最終的な出来が、ユーザの塗りにかかっている点は、今もそんなに変わらないように思います。

 HJでの香川さんのコメントは、とりようによっては、ユーザの介入を拒否しているようにも聞こえるところが、ちょっと気にかかるのですが、造形の可能性を追求している姿勢には、好感が持てます。おそらくは香川さんの矜持の高さを表しているのでしょう。

 しかし、ちょっと思ったのですが、ユーザとかメーカは、原型師の作家性というものを、どこまで許容できるのでしょうか。

いわた

 最後に私自身の感想です。いろいろ感じたのですが、2つのことに注目してみました。

<顔つきについて>

 多くの方が、新3rdの事を「似ていない」と表現されていました。しかし、私は似ていることはそんなに大事なことではないと考えます。第一、3次元であるフィギュアは2次元のウソを吸収できません。そのため、多くの原型師は何らかの策を講じてそれをうまく表現しようとします。その策の違いが原型師の個性となります。その個性の違いが面白く、様々な角度からの評価がフィギュアを面白くしていると私は考えています。

 しかし、美少女フィギュアというジャンルに置いてこれだけは絶対というものがあると考えます。それは「美人であること」です。いくらそれが何らかの観点から見て評価が高くても、美人、あるいはかわいくなくてはやはり「欲しい」とは思いません。まぁ、何を持って美人というのか。それは難しいことではありますが...。しかし、多くの人が「綺麗だな」「かわいいな」と思える人、それが美人であると定義して差し支えないのではないでしょうか。今回の作品、美人だと思った人はどれくらいいるのでしょう。

 また「作品の雰囲気にあった表情」という物もあるでしょう。朝日奈さんはイタズラっぽい感じをテーマとしているようですので、綺麗な顔つきでなくても良い感じはします。しかし、館林さんのテーマは「雪」。雪は汚い現実を包み隠し、すべてを綺麗に清楚にしてしまう魔法のような意味合いを持つものではないでしょうか。ならば、それを表現するキャラクターもやはり現実離れをしても、綺麗な顔つきでなくてはならないと思います。香川さんの表現しようとした館林。それは「雪」というテーマと一緒にはしない方が良かったのではないでしょうか?

<GKにおける作家性について>

 GK、特にフィギュアはその原型師のが誰であるのかということが、非常に重要な要素となっています。これは、模型キットに「作家性」というものが存在していることを意味しています。しかし、作家性というものが前に出過ぎてしまうと、本当にいい物が正しく評価できなくなってしまうのではないだろうかと考えることがあります。「この人の原型は好きだから」「この人の原型は好きじゃないから」という理由でのキットの評価は、その造形そのものが語る物を無視した評価です。いっそ、原型師の表記をなくしてしまえば、購入者はキットを見て判断するしかなく、本当の評価が出来るのではないでしょうか。

 今回の館林見晴3rdは多分そこそこの売り上げを出すことでしょう。しかし、その売り上げは「香川雅彦」というブランドによるものが大きいのではないでしょうか。ほとんどの人は、あの館林さんを見たとき、違和感を覚えたはずです。そして、しばらく考えて、それを何とか肯定しようと考えたはずです(私がそうだった)。なぜ否定しないのかというと、否定することはこれまで買ってきたときメモフィギュアシリーズすべてを否定する事になるのではないかと思うからです。今や、フィギュアモデラーにとっては「ときメモ=香川雅彦」なのです。だからときメモが好きなフィギュアモデラーは誰も香川さんの作品を否定したくないのです。

 しかしそれでいいのでしょうか。私はフィギュアは本当にいい物のみが高く評価される世界であって欲しいと思います。つまり、原型師を評価するのではなく、あくまで作品を評価する世界であって欲しいと。原型師の皆さんには作家性というものは無視して作って欲しいものですね。

参加数:11。到着順に掲載。


以下は海洋堂へ書類を送った後に届いたアンケートです。 海洋堂には送っていません。

IKKN さん

 私はガレージキットを始めてまだ1年半の初心者なのですが、こんなにすばらしいものがあるのかと、ガレージキットを制作するようになったきっかけになった作品が香川さんのジオラママリーでした。 私は香川さんの、あの他の原型師さんにはない口の表情とかが大好きで、問題の3rdシリーズの見晴と朝日奈さんを広告で見たときも、1stシリーズから通して最高の出来だと思いました。

 うちに遊びにきたゲーマーだけどフィギュアをまったく知らない友人に 最近こういうものを趣味ではじめて・・・うんぬんと説明しながら、こんなのがあるんだよとHJ誌やMG誌をみせまくっていたら(あわよくば仲間に引き入れようとおもったのです)

 「かの、これ買え。これ作れ。」

と、強力に薦めてきたのが例の見晴3rdでした。 たしかに、ゲーム絵ににているかどうかの問題だったら似てないとおもいます。

 けど、3rdシリーズに入ってからの造形は詩織も虹野さんも含めて、1st、2ndシリーズよりも強力にかわいい光線を発しています。 私はあの独特の顔の造り、表情は女性というジェンダーの持つやさしさと柔らかさを既存のキャラクターと破綻させることなく、表現できている唯一の(今の時点では)手法だと思います。

 だらだらと書いてしまいましたが、まあ好みの問題といってしまえばそれま でかもしれませんね。 私個人としては、セミリアルタッチ大賛成です。 他のキャラクターもあのアプローチで是非立体化を続けて欲しいです。


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