白雪美帆 Full Scratch '00年 10月28日


 パーツ分割、スカート制作等を解説します。

 まずはパーツ分割から。 ここでは腕を切り離す作業をします。

 ファンドは柔らかいのでナイフである程度切り込みを入れることが出来ます。 力を込めれば2mm位は切り込めるはずです。 細いパーツなら、切り込みを入れた後に力を込めてバキッと折ってしまえばOKです。

 しかし断面が大きいとそうもいきません。 ナイフで切り込みを入れたら、そこにハセガワのエッチングソーでさらに切り口を大きくしてやります。 そしてその切り込みへさらにナイフで切り込みを深くして、またエッチングソーで広げて...。 という作業をしていけばいずれ切れます。

 この作業ではナイフに力を込めるので、ケガをする事が多いです。 くれぐれもナイフの扱いにはお気をつけを...。 また、エッチングソーはすぐに目詰まりするのでこまめに掃除しましょう。 切れるのにかなり時間がかかるので根気が必要です。

 お次はスカートです。

 まずはスカートと接触するであろう、腰まわりや腿のあたりの表面処理をしておきます。 ファンドの表面処理は、その面にファンドをスパチュラでこすりつけて、乾いた後に粗めのスポンジヤスリでやすってやればOKです。 水は絶対に付けてはいけませんよ。 ファンドが溶けます。

 で、いよいよスカート制作。

 まずマスキングテープを腰にぐるぐる巻きします。 そしてその上にメンタムを塗りつけて、パテをはじくようにしておきます(fig.1)。 そして、セメダインの木工用パテをその上からくっつけます(fig.2)。 厚さは1mm位がいいでしょう。 薄い方が望ましいのですが、そこは強度との相談になりますね。

 そして10分程すると、パテが硬化し始めます。 この時は確かに固体として固まっているのですが、まだ多少柔らかめ。 そんな状態になっていると思います。 このときに左右の分割面に切れ込みを入れて、一度剥がします(fig.3)。 柔らかいので剥がし易いと思います。 そしてまたすぐに元の状態に戻し、テープでしっかり固定しておきます(fig.4)。 そして完全に固まった後、これらを外せばスカートと腰の密着面を出すことが出来るわけですね。

 この作業では、硬化途中で一度パテを剥がしています。 なぜかというと、完全硬化してしまうと剥がすのがとても大変だからです。 ですから、一度途中で剥がして置いて、粘着力をなくしておくんですね。 何度もやってきて結果身につけた技...かな。

fig.1
fig.2
fig.3
fig.4

 今回はロングスカートなので、さらにここから丈を伸ばすことになります。 まず、クラフトテープのツルツルの面を外側として、ぐるっと腰回りに巻きます(fig.5)。 ちなみにクラフトテープの粘着面にはティッシュペーパーが貼ってあります。 こうしておかないと、くっついちゃって作業しにくいですからね。

 そしたらその上にポリパテを盛りつけて...(fig.6)。 固まったら切れ込みを入れてパカッと剥がす(fig.7)。 これでスカートの土台のできあがり。

 あとはこの上にさらにパテを盛ったり削ったりして、理想的な形になるようにしていきます。

fig.5
fig.6
fig.7

 スカートを作るなら胴体の分断も不可欠。 上半身とか半身を分ける線を決め、切ります。 上記の腕の切断方法と同じ方法でも良いし、ノコギリ等でさっくり切ってしまっても良いでしょう。 しかし、切断面によって、刃の通った幅だけは物がなくなってしまいます。 よって、ちゃんとどれくらいの角度でつながっていたかを覚えておく必要があります。 ここでは、切断する前に、切断面と直交する線をいくつか描いておいて、切った後その角度が分かるようにしています

 切断したらダボを作りましょう。 まず凸側を作り、その後、キット制作でもおなじみのメンタム+パテ方式で凹側を作ります。 そしてスカートの前側を接着すれば、これで胴体パーツの元の完成ですね。

 というわけでここまで出来ました。 前の更新から1ヶ月ほど経っているのはスカートの形状でさんざん悩んだからです。 そりゃSubStoriesとかmotogpとかで遊んでたり、葵ちゃん作ったりしたのもありますがね。 ロングスカートなんて初めて作ったから結構難しくて...。 単調にならないような適度なしわってのは難しいですね。 最近ロングスカート履く人も少なくて、参考にする物もなかなか見つからなくて...。 何回パテを盛ったり削ったりしたことか。 また、身体のバランスも悪いと思って、ヒップを小さくしたりとかの作業もやったので、いろいろと時間を食いました。

 ところでここで使用しているポリパテは、造形村のポリエステルパテです。 150gから缶で販売しています。 硬化時間がとても短いので、急ぎのフルスクラッチに最適。 粒子はモリモリと同様かそれ以上に粗く、大きい盛りつけに向いています。

 色は灰色っぽい白の主剤に、茶色の硬化剤という構成です。 硬化剤の量はモリモリ等よりも、少なめに入れるとちょうど良いようです。 モリモリと同じ要領で入れると、早く固まりすぎてしまいますから。 硬化が始まると、一旦緑色に変色し、完全硬化でベージュ色になります。 硬化の段階が目視できるので便利ですよ。 また、硬化後の色は木工用パテと同じなので、コレとあわせて使うと色むらがおきにくくて良い感じです。

 パテの削りには今回から彫刻刀を用いました。 凹面を削るには、今までリューターを使っていたのですが、うるさいし、粉飛ぶし、なかなか削りにくいし、今ひとつ使いづらいと思っていました。 しかし、よく考えたら彫刻刀の丸刀を使えば凹面を楽に削れるんでないの? と思って、太さの違う物を3本購入しました。

 予想通り使い勝手は良好。 特に、完全硬化前の少し柔らかいときにサクサク削れるので、早く形に出来ます。 丸刀で削ると表面はボコボコになるのですが、その後にスポンジヤスリで磨いてやれば簡単にフラットに出来ます。 なかなかいい感じ。 まぁ、今のところ私のフィギュア制作方法では、このスカートでしか彫刻刀の出番はないと思いますが、これからの作業時間削減に一役買うことでしょう。

 道具の購入についてですが、いきなりいろんな物を買っても無駄なだけです。 まずは必要最小限の物だけそろえます。 そして普段から東急ハンズなどの道具売り場をうろついて、世の中にどんな道具が存在するのかって言うことだけを知っておきましょう。 そして実際作業をしながら、あの道具があったら便利だなって思ったらその道具を買う。 そうやって少しずつ道具を増やしていきましょう。

 また逆にハンズの売り場を、フィギュアの何かに利用できないか?って言う観点で眺めていくと、コレは使えるんじゃないか?ってアイデアが生まれたりすることもあります。 そういうことから、特に用事がなくても、DIYショップなんかを立ち寄ってみる事をオススメします。 今回彫刻刀を使えばっていうのを思いついたのは、よく彫刻刀使ってますって言う原型師の話を聞いていたというのもあるのですが、彫刻刀売り場のイメージが即座に湧いたっていうのが大きかったですしね。

 さて、今回の写真アップの段階では、少し上半身の衣服も手を付けてありますが、これはまだ適当に付けたにすぎません。 次回は上半身をちゃんと作ることを目標にアップしたいと思います。


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